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ドラマ『相棒』二次創作SS 伊丹さんの恋『ビタミンCを摂ろう』

Posted by cometiki on  

ドラマ『相棒』のキャラクターを使用して書いておりますが、
本編とは全く関係ありません。
cometikiのオリジナルストーリーです。
(c)テレビ朝日・東映

※この世界では、相棒は右京さんと薫ちゃんのままです。
 また、美和子さんやたまきさん、三浦さんなど初期の
 メンバー設定のままとなっております。

※何気に連載モノ
 サイト『地球の王様』の『相棒 ふたりだけの特命係』TOP
 の下に作品がまとめてあります。
 (いずれこちらのサイトへ移設予定)





















ゴツン。


「あいて」

「先輩ー!何やってんスか?!」

「別になんもしてねーよ!」


ゴツン。

警視庁の廊下を歩く俺に、やたらと壁が向かってくる。
今日もう何度目だ?ちくしょう。

やっと長期の張込みの成果が出て、犯人グループを
逮捕したっつーのに、芹沢なんかに心配されて。
あー…気分悪い。


「おい、伊丹?お前、熱でもあるんじゃないか?」

「はぁ?!んなもん、刑事になってからこっち…」


俺の前を歩いていた、三浦さんが振り返る。
自分の子どもを心配するみたいに言うもんで、頭に
血が登っちまった。
その所為で、視界がぐにゃりと歪む。


「ちょっ!先輩!!」


あーもー…芹沢!お前、本当にうるさい。
人の目の前で、そんな大声出してんじゃねーっつの!


「おい!医務室連絡しろ!」


三浦さんまで…なに騒いでんだ?
俺は大丈夫だっつってんだろ!?


「うわっ!熱っ!!いつからこんなになってんスか!」


芹沢!お前、俺の声が聞こえねーのか?!
大丈夫だって…ん?何、俺のこと見下ろしてんだよ?
何様だ、お前……


「お前なぁ。自分が風邪ひいてるかどうかくらい、
わかるだろう?」


呆れた顔の三浦さんまでも、俺を見下ろしてくる。
ん?なんか変だな?


「先輩!今、ものすごい熱出して、倒れてるんです
よ?!わかってます?!!」


ああ…見下ろされてるんじゃなくて、俺が倒れてん
のか…ようやく、納得。
でも、俺が風邪だと?
そんな訳ねーだろ…って、芹沢に言ってやりたいのに、
なんか上手く言葉が出せない。


「ちょ…先輩!しっかりしてくださいっ!!」

「おい!救急車だ!救急車呼べ!!」


あれだけうるさく聞こえた2人の声も、どんどん小さく
なっていく…。
もう、何言ってんのかわかんねーよ。
もっとデカイ声で喋れっつーの!!

なんも聞こえねー……







             * * * * *







「いーい?ちゃんと1日に1回は、ご飯食べてね?
お米って大事なんだから。食べるの面倒臭いなんて
言って、ご飯抜いちゃダメだよ!!」

「わかった。食うよ、食います」


本当は、もう寝ようと思ったんだけどな。
ウチに帰って、シャワーを浴びて。
缶ビールに口をつけたら、ふと、最近すれ違いで、全然
会えていない、ちーの声を聞きたくなった。

日付はとっくに変わってんのに、まだ起きていたらしい
電話の相手は、なにかっていうと俺の心配ばかりしやがる。

俺は、お前のほうが心配なんだけどな…。

まあ、これだけ元気なら大丈夫か?
ホテルの仕事も、家の花屋もどうにかやっているんだ
ろう。


「今日戻ってくるんだったら、晩ご飯持って行った
のになー」

「いいよ。この前冷凍しといてくれた、きんぴらとか
あるし」


缶ビールをテーブルに置いて、冷凍庫を開けてみる。
ちーの手で書かれたメモと一緒に、食糧が並ぶ。
もうすっかり見慣れた光景だ。

そういやぁ、ちーが初めてウチへ来たのはいつだった
かな?
あの時も、捜査続きでロクに飯を食ってないって話に
なって…そしたら、今まで見たことねーくらいに怒っ
てなぁ。

自分がなにか作る!って言って、冷蔵庫開けたらビール
しか入ってなかったもんだから、すんげぇ顔で叱られ
たんだった。
…あれはマジ、怖かったな。

以来。
なにかっちゃあ、冷凍できるものを詰めて帰っていく。
だから現在の我が家の冷蔵庫事情は、誰にでも自慢
できるくらいに、潤っているのだ。


「疲れているのに、わざわざ来なくても…」

「そーじゃなくてっ!」

「え?」


きんぴらとキューブ状にされた味噌汁を手に、冷凍庫
を閉める。
電話に向き直ると、ちょっとイラッとしたちーの声が
飛び込んできた。

…珍しいな。


「そーじゃなくて…っ…ちょっとでも、会えたのに
なって…」


ゴトッ。

恥ずかしさを懸命にこらえた声で、ほんのりと囁く
ものだから…きんぴらと味噌汁を落としました。

っつか…もぉ、どうしてくれよう。コイツ。
一瞬で俺の体温を、沸点まで上げてくれんだからな。
あー…あっつい、あっつい。







             * * * * *








「うん。うん。大丈夫そう…うん。もうちょっと様子
みてからにする…うん」


ん?あれ?
夢…見てたのか?
部屋は、俺の部屋で…熱い…のは、夢じゃねーみたい
だけど…。

え?
夢って、どっからだ!?


「ちー?」


聞こえてくる声に、呼びかける。
100%信頼できる、その人物に。


「あ!目が覚めたみたい!じゃ、切るね!!」


ちーが、慌てた様子で駆け寄ってくる気配を感じる。
身体がだるくて、頭も上手くまわんねーけど…。


「もぉっ!心配するでしょっ!!」

「うわっ!耳元で叫ぶなっ!!」


鬼気迫るちーの声を聞いて、すこし意識がシャンとした。
…そういえば、三浦さんと芹沢が居たハズだ。よな?


「倒れるまで熱に気づかないとか、ホントないから!!」


あー…思い出した。
というか、記憶が繋がった。

犯人グループ逮捕して警視庁に帰った後、廊下で倒れた
んだ。熱出して。
三浦さんと芹沢の声が最後まで聞こえてたけど…病院で
なんか処置してもらったってとこか?

それから、芹沢あたりが家まで運んで…ついでに、こいつ
に連絡までしたんだろう。
気ぃ遣いやがって…いや、ちーに説教される俺を見越して
やがるのか…くそ。

あれ?
逮捕したまでは覚えてるけど…取調残ってんのになー…
倒れて、悪いことしちまった。


俺が、寝ていた間の記憶の整理をしていると、ちーが心配
そうに顔を覗き込んでくる。
全てお見通しって感じで。


「と…取調なら、三浦さんたちがしてくれるって…だか
ら…ちょっと…休んで…って…」

「なっ!なに泣いてんだよ、お前っ!!」


わ。
いきなり身体起こしたら、クラッとくるんだけど…。
いやいや、んなこと言ってる場合じゃねぇ!!
なんでいきなり、ちーが泣き出してんだよ!!


「誰かに何か言われたのか?!」


俺の言葉にブンブンと頭を横に振って、涙を拭うとちー
はキッと睨みをきかせた。


「倒れたって聞いて、心臓止まるかと思った。風邪だから
心配ないって言われても…目が覚めるまでホント、死んじ
ゃいそうなくらい、心配だったんだから!」


言いながらまた涙目になったちーは、最後枕元に突っ伏し
てしまった。
微かに震える肩を、必死で抑え込むようにして。

どんだけ心配かけたらいいんだ?俺は。
静まり返った室内の空気が重い。


「悪かった…」


そっと、ちーの頭を撫でる。


「じゃあ、もっとしっかり栄養摂って!!」

「はぁっ?!」


涙でぐしゃぐしゃになっているであろう顔を想像して
いたのに、その表情は意外にも使命感いっぱいに燃えて
いる。

すっくと立ち上がり、台所に駆けていくと、すぐさま
大量の食材を抱えて戻って来た。
米に野菜に肉、魚…リンゴにキウイ、いちごetc…。
まるで市場でも開く勢いだ。


「1日に1回とか言わずに、本当は3食キチンと食べ
て欲しいの。やっぱり、ビタミンCは欠かせないから…」


ちっこい身体で、これだけの食材をどうやって運んで
来たんだよ。
俺なんかの為に、お前…。


「キウイだったら、手軽に摂れるし…あと、赤ピーマン
とかでもビタミンCが摂れるんだって!だからね…」


美花さんとかに、いっぱい聞いてきたんだろうなぁ。
ちーだって、自分の仕事があるっていうのに…。
あ、また涙目になってきてるぞ、ちー。


「ねぇ?ちゃんと聞いてる?!」


怒ってるんだけど、この表情は好きだなぁ。
俺のことが心配でたまんないって、伝わってくるから。
…どうしてこうもカワイイんだ、コイツは!!


「ちょ!ちょっとっ!!」


あんまり可愛いから、腕ん中に閉じ込めてやる。


「なぁ…」

「な、なにっ?!」


間近で見る、焦った顔も可愛いなぁ…。
あ。俺、可愛いしか言ってねぇな。
でも、実際可愛いんだから、仕方ねーか。


「ねえっ!!なんなの、もぉっ!!」


照れまくって、離れようとするけど、放してやんない。


「あー…ホラ、あれだ。俺に足りないもの?」

「そ、そう。ビタミン…」

「ブーッ!ハズレ。今の俺に足りないものはな…」



そう。多分、これが正解。
だって俺、刑事になってからこれまで、熱出して倒れた
ことねーもん。

2、3日飯抜きで、ビールしか飲まねー日が続いても、
風邪すらひいたことなかったんだから。

だから原因はビタミンCとか、そんなもんじゃなくて。


「ビタミンCじゃなくて、ちーが足りねんだよ」


ずっと欲しくて、摂れなかった、お前。
今日はたっぷり補給するって、決めたからな。







.☆.。.:*・ HAPPY END .☆.。.:*・
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