こめなべ

マンガ・アニメ・ドラマや映画の感想&声劇台本置いてます

マンガ『飴菓子』第1巻ネタバレ感想-喰い喰われ、それでも愛す

こめなべ-20161120

古狼と飴菓子の関係性が切ない物語

繊細なイラストの表紙に惹かれた、マンガ飴菓子』(群青著・講談社)。

表紙からは想像つかない、内容でした。 ふわふわした、ファンタジー作品だと思って読んだら、かなり血生臭いお話です。

でもその分、古狼と飴菓子の関係性が切なくて、愛しさを増しています。 生きるか死ぬかの2択の中で、通わせる情。

飴菓子が、本当に可愛くてたまりませんでした。

今回は、マンガ『飴菓子』第1巻ネタバレ感想を書きます。 苦手な方は、ご注意ください。

スポンサーリンク

マンガ『飴菓子』第1巻のざっくりしたあらすじ

“オオカミ”の暮らす町で、普通に育ってきた糸巻(いとまき)。 ある日突然、何も食べられなくなってしまう。 いくら食べ物を口にしても、すべて吐き出してしまうのだ。

糸巻の祖父は、そんな彼を“古狼(ころう)の谷”へ連れて行く。 そこで祖父の血を強く受け継いだが故に、飢餓期が訪れたのだと知らされる。 この飢餓期を終わらせるには、この谷のどこかに咲いている“飴菓子”を見つけなければならない。

もしも見つけることが出来なかったら、糸巻は飢えて死ぬことになるという。 たった1人、古狼の谷に残された糸巻は、足を滑らせて落ちた崖下で、甘い匂いのする花を見つける。 手を伸ばすと、花は大きく開き中から美しい少女が現れた。 掌サイズの少女、彼女こそが“飴菓子”だった。

飴菓子はすぐに糸巻を、自分の運命の人と認識し、彼の飢えを止めるため血を吸ってやる。 糸巻の血は飴菓子の食事となり、糸巻は血を吸われることで、飢えの感覚が楽になる…ハズだった。 けれど糸巻には、人の血が混じっているため、効果がない。

自分のお腹は空く一方なのに、なぜ飴菓子に血を分けてやらなければならないのか?! 怒りに任せて、飴菓子を食べようとするが「1年後でないと、食べられない」と言われる。 飴菓子は元々“毒”の塊…そのため、運命の人の血を吸い、1年間かけて毒を消していくのだと。

その間、他の古狼たちに横取りされたりしないよう、糸巻は飴菓子を守らなければならないのだ。 身を隠し、ある時は闘いながら過ごす日々。

そんな中、食べ頃の飴菓子の匂いを辿って行くと、一匹の古狼と飴菓子を見つける。 糸巻が陰から様子を伺っていると、その古狼は飴菓子を愛してしまった為に、食べられないと泣いていた。 男の感情が理解出来ず、困惑する糸巻。

ところが1年後ー… 飴菓子から「今夜が食べ頃よ」と、身体を差し出されたとき、糸巻は躊躇する。 最初こそ飴菓子のことを、憎らしく思っていた糸巻だったが、彼女の健気さや優しさに接する内、愛着を持つようになっていたのだ。

彼女を食べなければ、飢えて死ぬ。 そして、食べなくても彼女は今夜を逃すと、溶けて消えてしまう。 「私を食べて」という飴菓子の願いを叶えるため、糸巻は残さず彼女を食べた。

10年後。 町では人間により、飴菓子が人工栽培でつくられるようになっていた。 飴菓子の“毒”に注目する、薬屋。 見た目の美しさに惚れ込む、お金持ちたち。

飴菓子は、いろんなところで売り買いされていた。

それを快く思わない糸巻は、独自に人工栽培されている“庭園”を調査したり、飴菓子の食事用にと連れて来られていた古狼を助けたりする。 また、古狼の谷から生まれてすぐに連れて来られたという、飴菓子をなりゆきで助け出し、一緒に暮らすことになってしまう。

糸巻の友人は、彼のそんな行動を“罪滅ぼし”だと語る。

スポンサーリンク

飴菓子の愛は本当に大きいと思う

私は、糸巻が古狼の谷で過ごした1年間の部分が、とても好きです。 「自分は普通の人と変わらない」と思って生きてきたこれまでが、一変して古狼だと痛感させられる。 しかも、飢えというもっともしんどい方法で。

1年ですよ…気が遠くなります。

唯一、空腹を満たしてくれる飴菓子は、目の前に居ても毒が抜けきるまで、食べることができないなんて…どれだけの苦痛でしょう。 飴菓子を愛してしまって、食べられないと泣く古狼がいる一方で、飢えに耐えかねて毒が抜けきっていない飴菓子を、食べてしまう古狼もいました。

お腹が減り過ぎると、正常な判断が出来なくなりますもんね。 わかります。

そんな中で糸巻が耐えられたのは、飴菓子の存在があったから。 糸巻の辛さを理解して、受け止めて…「必ずあなたに、食べられたいから」と、糸巻のために自分の身を守る、飴菓子。

それってやっぱり、愛ですよね…広くて大きい意味での、愛。

糸巻と飴菓子が、幸せになれる方法はありませんでしたが。 彼女の想いを受けて、彼女の命と共に生きていくことを選んだ糸巻は、本当に男らしいと思います。

もう二度と、彼女に会えないのはわかっていますけど、どうか生まれ変わった彼女に、どこかで糸巻が出会える未来を望んで止みません。

スポンサーリンク