こめなべ

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マンガ『どうせもう逃げられない』全10巻ネタバレ感想

こめなべ-20170107

登場人物への感情移入するときの吸引力がハンパない!

マンガ『どうせもう逃げられない』(一井かずみ著・小学館)。 可愛らしい表紙が目について、手に取ってみました。

ラブストーリーですが…感情表現がすごく細かく描かれているので、登場人物への感情移入するときの吸引力?が、ハンパないです!! ぐいぐい持っていかれます。

今回は、マンガ『どうせもう逃げられない』のネタバレ感想を書きます。 結末までわかるものとなっていますので、苦手な方はご注意ください。

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マンガ『どうせもう逃げられない』全10巻のざっくりしたあらすじ

普通のOLになることが夢の、野田蔵なほ(のだくらなほ)。 正社員採用までの生活費を稼ぐため、デザイン事務所『ソロ・デザイン』でアルバイトを始める。

採用前に、社長の向坂拓巳(さきさかたくみ)と女性の修羅場に巻き込まれたなほは、できるだけ拓巳と関わり合いになりたくないと距離を置く。

しかし拓巳は、そんななほのことが面白くて仕方ない。 何かとイタズラを仕掛けては、なほを笑うのだ。

考えていることが全く読めない拓巳のことが、怖くもあるなほだったが…どこか悲しげな気配を纏うわ彼のことを放っておけなくなってしまう。 好きだという感情が溢れ、キスを交わすものの拓巳はなほの気持ちを、決して受け入れようとはしなかった。

そんな拓巳が“伝説のデザイナー”だったことを、男性デザイナーの余(あまり)と、女性デザイナーの浦江(うらえ)、カメラマンの深澤馨(ふかさわかおる)から聞かされる。 だが拓巳は、一躍有名になった作品“世界(ここ)で”シリーズにかけられた、盗作疑惑をきっかけに、デザインすることを止めていた。

盗作疑惑をかけられている写真は、馨が撮影したことになっているが、本当に撮影したのは拓巳だった。 だが、拓巳の兄・柾巳(まさみ)の妻・ちはるを愛おしく想う気持ちが込められた写真を、自分の名前で世に出すことは出来ないと、拓巳が拒んだのだ。

拓巳は子どもの頃から、兄と結婚した後もちはるのことを愛していた。 誰にも気づかれないよう、細心の注意を払って。 それなのに…車で自宅へ送り届けようとしたとき、拓巳がハンドル操作を誤った所為で、事故に遭いちはるを亡くしてしまう。

ちはるを殺したのは自分だ。 家族を壊したのは自分だー…と責め続け、ちはるを愛し続ける拓巳。 そんな拓巳を、なんとか救いたくて、愛したくてなほは何度手を振り払われても、彼に手を伸ばし続けた。

どこまでも前向きななほの姿勢を見ている内に、拓巳はようやくちはるを亡くしてしまったことを悼むことができる。 そしてなほのことを、なによりも大切な女性だと想うことも、自覚した。

いろんなことを乗り越え、周囲の人たちに支えられ、遂に2人は結ばれた。

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マンガの世界観にどっぷり漬かってしまいました

詩的なモノローグが、胸に響いて。 しんしんと積もってゆくようです。

なほちゃんの想い。 拓巳さんの抱えているもの。 切なくて、愛おしくて、泣けてきます。

ちはるさんを事故で亡くしてしまったことで、自分に幸せになる資格はない…と思い込んでいる拓巳さんを、「そんなことないっ!」と両頬掴んで目と目を合わさせる勢いのなほちゃんは、本当にカッコイイ。 強気なんだけど、拓巳さんを想って震えて泣いているところとか…そのギャップがたまりません。

たまに大胆だったり、とろけるように甘かったり。 お人好し過ぎるところもあるけれど、それだけ優しい女のコなんですよね。

だから「誰にも癒せないだろう…」と思われていた、拓巳さんの傷にも少しずつ…少しづつ優しく触れることができた。 なほちゃんだから。

最終巻である10巻は、さいしょっから最後まで、涙なしでは読めませんでした。 これまでのなほちゃんの想い、拓巳さんの苦しみ…それから、愛おしさ。 いろんな感情が蘇ってきて、度々ティッシュで涙と鼻水を拭いました。

個人的に萌えている部分は、このマンガのサブタイトル“仔猫は虎の夢を見る”…にちなんで、なほちゃん風の猫と、拓巳さん風の虎が描かれている場面があります。 2人の気持ちにリンクしたその描写が、とてもとても好きでたまりません!!

イラストも、言葉の紡ぎ方も、とても綺麗で美しくて。 読後は、トキメキで胸がいっぱいになりました。