ラブストーリーの合間に織り込まれているビジネス書的な部分がイイ!
マンガ『恋がヘタでも生きてます』(藤原晶著・小学館)。 少女マンガで、ラブストーリーメインの物語ですが、合間にビジネス書に書かれているようなことが、うまく挟まっています。 これが自然で、すごくイイ!!
堅苦しいビジネス書も…わかりやすくて、面白いものも勿論たくさんありますが。 こうしてラブストーリーの合間に織り込まれていたら、きっとどんどん吸収していっちゃうんじゃないかなぁ。
そして素敵な物語だったら、自然と何度も読み返してしまいますしね!! こういう…「ラブストーリー見てたハズなのに、気づけば会社で役に立ってた!」みたいなドラマもあるといいのに。 春だと、需要がありそうです。
ドラマ化されると聞いて、このビジネス書的な部分も組み込まれるのかと期待していたのですが…第1話を見ると“ラブメイン”に仕上がっていました。 …ちょっと、勿体無い。
佳介の魅力は、このビジネス書的なところに最も出てるんだけどなぁ。 そこに惹かれる美沙も、原作では描かれているのに…勿体無い。
今回はマンガ『恋がヘタでも生きてます』全4巻のネタバレ感想を書きます。 結末を含みますので、苦手な方はご注意ください。
マンガ『恋がヘタでも生きてます』全4巻のざっくりしたあらすじ
総合商社の営業一課で働く・茅ヶ崎美沙(ちがさきみさ)は、出世欲の強い女性。 取引先の担当者に気に入られるためなら、ニューヨークへ飛んでブランド物の限定バッグを、争奪戦の末手に入れてくるほどだ。
容姿端麗で、頭脳明晰な美沙は、仕事に対しても手を抜かない。 コツコツ努力し、課内では常に優秀な成績を上げている。
ある日、部長から次の主任に決まるかも…と、内定を受ける美沙。 嬉しくて、同居人で親友の・榎本千尋(えのもとちひろ)に報告すると、美沙の努力を知っているので、誰よりも喜んだ。
だが千尋は、美沙のプライベートを心配する。 美沙は、大学時代に片想いしていた相手が、美沙のつけいる隙が無いほどの完璧さに「一緒に居るとコンプレックスを刺激されて嫌だ」と言っているのを聞いてしまった。 以来、自分を好きになってくれる男性はいないと思い込み、恋を忘れて仕事に邁進しているのだ。
体力作りと、美容を兼ねて続けているランニング中に、美沙は不思議な男性・雄島佳介(おじまけいすけ)と出会う。 愛犬の散歩をしていた佳介は、どこか浮世離れしていて、美沙の周囲にはいないタイプだった。
いつも男性と競うように生きている美沙が、彼の前では自然と柔らかい気持ちになれる。 佳介の隣が居心地よくて、美沙はもっと彼のことを知りたいと思う。
佳介も同じ気持ちだと知り、胸をときめかせる美沙。 仕事も恋も順調でー…と、思っていたら、営業一課の新主任として、佳介が現れたのだ!!
しかも社長の甥で、ニューヨークの有名企業の天才営業マンだという。 夢だった主任の座を、佳介に横取りされた形になった美沙は、とことん彼に反発するようになる。
美沙が座る場所だったことを知らなかった佳介は、美沙のためなら仕事を辞めてもいいとまで言い出す。 社外から来て簡単に主任になれたこと、またそれを容易く手放そうとする佳介が理解できず、美沙は怒りを露わにする。
好きだと思えた佳介に、バカにされたように思えて、悔しくて。
その気持ちを察した佳介は、本腰を入れて営業一課の仕事に対する意識改革を行ってゆく。 スポーツマンを例に挙げ、練習することの大切さを説き、キーボードのブラインドタッチの練習などを始めてゆく。
また、目標をグラフ化して自分の仕事の仕方で弱い部分、強味の部分を見せ、どうすれば強味を増やし、目標を達成して尚且つ“仕事を楽しめるか”を、佳介は部下たちと一緒に考えようと言う。
そして自身が“ブランド”となる頃には、有名他社からの引き抜きを、どんどん受けて欲しいと言うのだ。 1人1人が人生を楽しむために、佳介は自分の知識をどんどん活用してくれと笑う。
結果、営業一課の成績はグングン伸びてゆき、いつも営業部で一番を取る二課をも抜いた。 営業一課のメンバーは、自信を持ち始める。
美沙も佳介の実力と、優しさを間近に感じていく内に、彼に対する反発心がなくなってゆく。 そして“主任補佐”として、佳介を精一杯支えていこうと決心する。
さらに佳介からの告白も受け入れ、美沙と佳介は公私ともにパートナーとなった。
付き合い始めてからは、美沙が勝手に空回りして、落ち込んだり。 佳介の過去の恋に、涙したり。 ケンカも仲直りも沢山して、美沙と佳介は自分たちのペースで、歩んでいこうと約束して、結婚する。
佳介の賢さは腹黒く見えてしまうくらいの完璧さです!
主人公の美沙は、美人で仕事もバリバリできて実に男前な、女性です。 ルームメイトの千尋の前では、弱さダダ漏れで外とのギャップに、胸キュンなのに…表では見えませんからね…可愛いのに、勿体無い。
美沙に関しては、佳介が初対面からロックオンしていたので、恋愛に関する心配は全くありませんでした。 彼に惚れられたら、余程のことでない限り諦められることは、ないでしょう。
恋愛に関してヤキモキさせられたのは、千尋と…美沙の同僚・橋本司(はしもとつかさ)の関係です。 まあ…千尋の婚約者・時任 仁(ときとう じん)が、最低最悪な男性だったが故に、出会うことができた訳ですけども。
諸事情あって、司を好きになった千尋は、彼の捻くれた感情を先読みして、行動していく訳ですが…これがたまりません! 切なさを含みつつの、面白さ。
美沙の影にかくれて見えなかった千尋の魅力が、司といるとありありと見えてきました。 互いに“活かし合える存在”なんだなー…と、思うと「仁、もうしゃしゃり出てこないでね!」と、ページをめくる指に力が入った程です。
力が入る…といえば、佳介の賢さ、ポジティブさ、想いの強さには、胸キュンしまくりでした! ただ頭がいい人…ではなくて、自分という商品価値を熟知していて、尚且つ有効的に利用できる人。
たまに腹黒く見えてしまうくらいの、完璧さです!! 現代の王子様…佳介。
ドラマ版では、楽しめないかもしれない、佳介の魅力をぜひマンガで堪能してください!! オススメします!!