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マンガ『さよならソルシエ』全2巻ネタバレ感想-読んでる最中血が滾って仕方なかった!

こめなべ-20180407

読みたさを加速させる、穂積さんの描くゴッホ

マンガさよならソルシエ』(穂積著・小学館全2巻を読みました。

穂積さんはコミックシーモアで、マンガ『うせもの宿』を読んで以来の、ファンです!
とても魅力的な作品で、しかもラストでの予想もしない展開が待ち受けているという!!
そんな作品を描かれた作者さんなら、「今回はどんな作品なんだろう?」と興味を惹かれます!!

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さらに読みたさを加速させたのが、ゴッホが登場するということ。
私、ゴッホが好きなのです。

…と言っても、本物のゴッホではなく、三谷幸喜さんの舞台『コンフィダント・絆』で、生瀬勝久さんが演じられたゴッホが、メチャクチャ好みで!!
この舞台を観て以来、"ゴッホ=生瀬さん"という公式が私の中にできたほどです!!

>公式サイト⇒コンフィダント・絆

さよならソルシエ』のあらすじにゴッホの名前を見つけ、穂積さんがどんなゴッホを描かれたのか?!
期待に胸を膨らませて、ページをめくったのでした!!

今回は、『さよならソルシエ』全2巻のネタバレ感想を書きます!
結末を含みますので、苦手な方はご注意ください。

マンガ『さよならソルシエ』全2巻のざっくりしたあらすじ

1885年・パリ。
テオドロス・ファン・ゴッホ(以下、テオ)は、モンマルトル通り19番街にある『グービル商会』で、画商をしていた。

この時代。
絵画というものは、とかく高尚なもので。
上流階級の人間にしか、手が出せなかった。
そのため、絵を売る人間にも品性や、立ち居振る舞いが求められている。

テオは支店長という役職にありながら、格式ばったことが嫌いで、街の住人たちと会話を楽しむことを優先する、変わり者。
しかし頭がよく、人や時世を読むことに長けていたため、売り上げ成績は常にトップだった。

絵は、買う人間も選ぶが、描く人間も選んでいた。
画家を"アカデミー"という組織が取り締まり、自分たちの望む絵を描かせた。
逆にアカデミーの意に沿わない絵を描く人間は、画家としても認められない。

テオは…絵はもっと自由で、街の人々全員の手に届くべきものだと考えている。
アカデミーの持つ力に怯えた人々は、若き芸術家たちの作品を見ようともしない。
だがテオは、アカデミーの圧力に屈することなく、斬新な方法で次々と絵を広めてゆく。

それは、テオの兄・フィンセントの絵を、世界へ広めるための下準備。

アカデミーは、テオの影響力が強まってゆくのを危惧。
テオを絶望させるため、フィンセントの殺害を企てた。

ところがテオは、それさえも利用する。
天才的な絵の才能を持つフィンセントだが、彼には怒りの感情が欠けていた。
フィンセントが怒りの感情に目覚めれば、さらに素晴らしい絵が描ける…。

テオは、フィンセントの目の前で自分の命と引き換えに、彼に怒りの感情を呼び起こさせることに成功した。

1890年。
フィンセントはテオとの約束通り、世界を幸せにする絵を描く宿命を受け入れ、各地をまわり絵を描きまくっていた。

だが。
テオが個展を開く用意をして待つパリへ戻る直前、フィンセントは物盗りに襲われ、命を落としてしまう。

テオは、自分がフィンセントを画家にしたことを、悔やむ。
画家になることを勧めなければ、こんなところで死ななくて済んだのに…と。
絶望するテオを救ったのは、フィンセントの遺した手紙だった。

手紙を読み終えたテオは、自分のやるべきことを見出す。
戯曲家のジャン・サントロに、フィンセントの"人生のシナリオ"を書かせるというのだ。
それも、"生涯孤独の狂気の画家"というシナリオを。

フィンセントは、よい兄だった。
だが、彼の平穏で平凡な人生には、誰も興味を持ちはしない。
人を惹きつけるためには、思わず誰かに話したくなるほどの、衝撃的な内容でなければならないのだ。

テオは信頼できる人間を集め、"炎の画家"というシナリオを聴かせて口コミで広めさせた。
思惑通り、街の人々はフィンセントの人生に興味を持ち、彼の絵に惹き込まれていった。

それを見届けた後、テオは表舞台から姿を消してしまう。
"兄を追うように死んだ弟"として。

舞台で観たい作品!!と思ったらもう上演されてました!!惜しい…

読み終えた瞬間―…「この作品、舞台で観たい!!」と思いました!!
アニメでも映画でもなく、舞台!!
ステージの上で、役者さんたちが演じている姿を、生で観たいと!!

私の中で"ゴッホ=生瀬さん"になっている所為かもしれませんが、それを除いても各キャラのパワーがものすごくて!!
なんでしょう?画面じゃ収まりきらないと、直感したのかもしれません。

気になって検索しみたら…なんと!!
すでに舞台化されてました!!

>公式サイト⇒ミュージカル「さよならソルシエ」~ 2017年3月シアター1010にて再演決定!

ビジュアルが、メッチャ原作そのものっ!!
再演された…ということは、再々演とかないでしょうか?
観に行きたいーっ!!

そして!
声優さんたちによって、音楽朗読劇化もされていたようです。

諏訪部順一さんに、浜田賢二さんに、三木眞一郎さん…って。
うわぁぁぁぁぁぁぁ…コレ、行きたかったようぅぅぅぅぅぅっ!!

同じキャストさんでの再演を、熱望します!!

…どうして私、このマンガにもっと早く出会わなかったんだ?!
すごく勿体無いことしたっ!!←落ち着け

さて。
マンガの感想ですが…フィンセント(実在したほうのゴッホも、興味を持って調べたりしたことあるんですけどね)って、とにかく「生き辛そうな人だなぁ」という印象しかありませんでした。

だからこの作品のゴッホが"一度も怒ったことがない"くらいに、毎日幸せに生きている姿を見て、無性に嬉しくなったのです。
フィクションだって、わかっていますけども…なんか、それでも。

世界中が美しく見えて、それを表現できる才能も持っている。
…まあ、売れない画家ではありますが、本人はあまり気にしてなさそうなので、ヨシとして。

一方のテオも、頭も顔もいいし、人心掌握に長けてるし、行動力あるし。
カリスマ性まで兼ね備えてるんですよ?!
ちょっと、どんだけ持ってんの!と、ツッコミ入れたくなるくらい。

テオ本人は「画家になりたかった」けど、絵の才能だけはなかったので、フィンセントのことが羨ましくて仕方なかったようです。

でもね!?
実際生活していく上で必要なのは、やっぱりテオの持つスキルの方が断然イイと思うのですよ!!
やると言ったことは、なんでも実現させてしまえる能力って、欲しくても手に入らないんですから!!

しかし…まさか、亡くなったフィンセントの絵を売るために、兄の人生を一から書き換えることまで出来てしまうなんて…ホント、魔法使い。

嗚呼…
やはりこの作品、舞台で観てみたいです!!