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マンガ『殺人予告はあの頃』全3巻のネタバレ感想-最終回…言いようの無い恐怖に襲われた

ミステリー色の濃い物語が3巻にギュッと詰められています!

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タイトル: 殺人予告はあの頃(1) (講談社コミックス) 作家名: 伊藤イット ジャンル: 少年マンガ ミステリー・サスペンス 出版社: 講談社

謎が謎を呼ぶ感じのお話で、ミステリー色が濃いため、とにかく次の展開が気になります! 事件が起こるたび、主人公の彼方(かなた)とともに犯人を推理していくわけですが…まあ、先が読めない。 3巻完結なので、サクッと読みたいときに、オススメです。

ただし、流血シーンやエグい描写がありますので、それらが苦手という人は、ご注意ください。

主な登場人物 遥丘彼方(はるおか かなた)…フリーター 御住 司(みすみ つかさ)…大手会社員 居揃木 景(いぞろぎ けい)…モデル 石蕗大和(つわぶき やまと)…漁師 鹿目真名子(かのめ まなこ)…魚屋の娘

今回は、マンガ『殺人予告はあの頃』全3巻のネタバレ感想を書きます。 物語の結末、犯人の正体を含みますので、知りたくない方は、ページの戻るボタンを押してくださいませ。

マンガ『殺人予告はあの頃』全3巻のざっくりしたあらすじ

舞台は、現代。

中学時代、仲間内でリーダー的存在だった・遥丘彼方。 アラサーの今も定職につくことなく、小説家になる夢を叶えようとしている。

そんな彼方に、最近ある異変が起きていた。 恋人・鹿目真名子の下着が、ポストに入っていたり。 1枚5万円もする、プレミアのついたカードが届いたり。

中学時代からの友人御住 司、居揃木 景、石蕗大和に相談すると、彼方が作った掲示板を思い出す。 『虚構人間 BBS』。 そこに書き込んだことは、なんでも“虚構人間”が叶えてくれる…というもの。

当然、虚構人間なんて存在しておらず、ただのお遊び。 それが中学卒業から10年経った今、書き込み順に現実化されていっている。

こんなことになるなんて予想していなかったから、ケンカした後などは「死ね」なんて言葉も、簡単に使っていた。 彼方は自分の書き込みから、大和の命が危ないと気づく。 しかし、大和を助けることはできなかった。

事故死として扱われた大和のことを、誰も殺人だとは思わない。 彼方は掲示板を作ってしまった責任感から、犯人・虚構人間を探し出して捕まえようと奔走する。

掲示板の書き込みは1日に1つづつ、現実になっていた。 この流れでいくと、恋人の真名子は3日後に死んでしまう。 その不安を消し去るためにも、彼方は犯人を捕まえたかった。

司と景は、彼方を心配して協力を申し出る。 もしこれが呪いであったとしても、なにか真名子を助ける方法がないか、一緒に探そうと。

ところがどれだけ手を尽くしても、犯人を見つけることどころか、掲示板の現実化を止められない。 真名子の番がやってきたー…。

なんとしても真名子を守ろうとする彼方たちをよそに、真名子は遺書を残して崖から飛び降りる。 「みんなを巻き込みたくないから」と。 警察に捜索を依頼するが、自殺の名所と言われる場所から飛び込んだ真名子は、見つからない。

司と景に解散をかけた彼方は、深夜に2人を呼び出す。 そこは、元担任・加賀森の自宅。 彼方の傍には、真名子もいた。

真名子の自殺は、彼方が計画した警察まで巻き込んだ、狂言自殺だった。 彼方は真名子を守り切ったことで、一連の事件には犯人がいると確信する。 その犯人は、司か景なのではないかとも。

どちらが犯人なのか、掲示板に書かれたことを元に、1人で調査を進めてゆく、彼方。 元同級生・村上直明(むらかみ なおあき)と、五條佳代(ごじょう かよ)の結婚式に参加していたことから、景に焦点を絞る。

なぜかこのタイミングで、掲示板に新たな書き込みが増えた。 彼方は景を軟禁し、書き込みされたことが現実になれば、景の無実を信じると言う。 司、加賀森と共に、指定された場所で一日様子を伺うが、何も起こらない。 彼方は、景こそが犯人と問い詰めようとするものの、何者かによって殺害された後だった。

司に「すべての現場に、お前がいたんだ。今、一番怪しいのは、お前だ」と言われる、彼方。 その言葉で、犯人の動機が彼方に恨みを持ち、罪をかぶせようとしていると、気づく。

景が犯人とつながるなにかを残していないか、自宅を探しに行った司は、死んだはずの大和に出くわす。 彼方、真名子、加賀森は「司を人質にとった」という大和に呼び出され、”秘密基地”へ向かう。

大和から「どうしてこんなことをしたのか?」の答えを要求され、彼方は推理を展開してゆく。 確証が持てない…という語り口は、警察が到着するまでの、時間稼ぎだった。 取り押さえられた大和を前に、彼方が真の回答を突き付ける。

真犯人は、村上。 この計画のために、大和の顔に整形までしていた。 村上がここまで彼方を恨む理由は、佳代の死。

佳代の死は事故だったが、現実を受け止めきれない村上は、直前に会った彼方たちを憎んだ。 『虚構人間 BBS』にネタとして書き込まれているのを知った佳代が、彼方たちを避けていたから。 刑事の銃を奪った村上は、銃口を彼方に向ける。 だがすでに、周囲は沢山の警官で取り囲まれており、村上は取り押さえられた。

最終回!とにかく最終回を読んでいただきたい!!

一番印象に残ったシーンは、最終話です。 10年後ー…逮捕された村上の元に通う、一人の支援者の女性。 人との関りを絶っていた村上の心を開き、月に一度、面会するまでになっていた。

死刑判決が下った日、彼女は獄中結婚を申し出る。

人の皮をかぶった化け物…そう呼ばれている自分に、温かい言葉をかけてくれる彼女。 死ぬ直前まで、彼女は村上の希望になる。

しかし… 刑務官から最後に渡された、彼女からの手紙には恨みの言葉が綴られていた。

そう。 彼女は10年前に、村上が起こした電車爆破事件の被害者だったのだ。

村上は絶望の中、死刑執行をうけるー…。

  私の母を
  あの時
  殺したのは
  紛れもなく
  人間の悪意だ
  
  化け物などに
  してたまるか
  
  天災と
  一緒だから
  しょうがない
  なんて
  納得できるか
  
  だから私が
  あいつを人間にする
  
  最後は人として
  死んでもらう
  
  それが
  せめてもの
  
  私の……
  
  殺人予告はあの頃
  
>引用元:マンガ『殺人予告はあの頃』3巻 214ページより

本編を読み返すと、彼方と話していた少女なんですよね。 あの子が大きくなって、村上に対しての憎しみを、こんな形で返すことになるとは…。 彼女の手紙を読んで、壮絶な恨みを感じ、背筋が一気に冷えました!!

なんていうか、最終回で全部もってかれちゃった…感じです。 とにかく最終回!最終回を読んでいただきたい!!