演者:男性・1人(年齢不問)
※[ ]内のヒロインのセリフは、その分の間を開けていただきたいので、書いています
※SEは効果音のこと(あってもなくても構いません)
時間:3分〜5分程度
演じる速度や、間合いによって異なります
場所:ヒロインの自室(布団の上)
時間:朝
状況:眠っているヒロインの元に、未来の彼氏(男)から電話がかかってくる
演者側の状況:
男はヒロインと、恋人関係(めっちゃラブラブ)
ヒロインがよく「あのときに励まして欲しかった」ということがあり、できるならそうしたいと思っている
そんなとき、過去に通話できる電話を手にした
通話のルールとして、相手に自分の詳細は話せない
通話時間に制限…などがある
SE:スマホ着信音(しばらく鳴る)
布団の中で目を覚ましたヒロイン
手を伸ばし、スマホを取る
通話をタップ
男:おはよ。やっぱり寝起きなら、番号確認せずに出ちゃうんだ(笑)。
[…は?どちらさま?]
男:あーっ!声、疲れてる!なんか、ずっと“無理してきました”って感じの声ーっ!
仕事が忙しくなると、食べるの面倒になるクセが出てるんじゃない?
もーっ(溜息)…そのままだと、確実に38度超えの発熱コースだよ?
ちゃんと三食とらないとーっ!
[あの…どなたかとお間違えでは?]
SE:ヒロインが布団から起き上がる、衣擦れの音
男:間違えてませんよ?ちゃんと、キミにかけてます。
[え?誰…??]
男:あ〜…名前は言えないんだけど、キミのことをすごくよく知っている人です。
[ストーカー?!]
SE:ヒロインが、布団の上で暴れる音
男:ちょっ…(ヒロインの声に、一瞬声が遠ざかり戻る)。
ストーカーじゃないから、落ち着いて!
[…じゃあ、宗教?]
男:へんな宗教でもないし、バカ高いツボも印鑑も売ってません!
(溜息)まぁね…たしかに、不審者だよねぇ…。
けど、電話切らないで!
キミのこと、心から大切に想ってるんだ。
危害を加えたり、怖いことしたりしないから。
ね?信じてくれないかな?
[ストーカーでも?]
男:(ぷっと吹き出して)ストーカーじゃないってば…(笑)。
今のキミがとても大変で、苦しくて辛くて、どうにかなりそうだってこと、知ってる。
誰にも相談できずに、一人で抱え込んで…。
(一呼吸置いて)
食事もさ、食べないんじゃなくて、食べられないんだよね?
口に入れても、吐いちゃうから。
[……]
男:心と体がバラバラで、もう限界だってわかってるのに。
責任感の強いキミは、まわりの人のために頑張ってる。
…エライね。
[……]
男:僕は、そんなキミを尊敬するし、心から誇りに思う。
だからこれは、僕のワガママなんだけど。
今日は一日、なにもしないで休んで欲しい。
食事がムリなら、せめて水分はしっかりとって。
眠れるようなら、なにも考えずに眠って?
あ。
眠れなくても、布団で横になってるといいよ。
目を閉じているだけでも、体は休まるから…。
ゴメンね。
僕はキミのまわりの人のことより、キミが大事なんだ。
キミの心と体が元気でいてくれることが、大事。
[…(泣き始める)]
SE:弱々しい衣擦れの音
男:…うん。泣いてもいいね。
溜め込んでたもの、全部吐き出して?
そしたらきっと、呼吸するのが楽になるから。
[…(わんわん泣く)]
男:あー…!(と、悔しがり)
今すぐ抱きしめて、頭を撫でてあげたいけどっ…
それはもう少し先になるかなぁ…(苦笑)。
辛いとき、そばにいられなくて、ゴメン。
でも、キミを待ってる僕がいるよ?
出会ったらキミを愛して、キミを支えて…あと、メッチャ甘やかす!
…って、たまに度が過ぎて、キミに叱られるんだけど。
[ふふふ(…と笑う)]
男:あ!もう、時間が…えっと、えーっと(慌てる)。
キミが好き!大好きだよ!!
だからどうか、ムリしないで。
未来で待ってる!
SE:「ツーツー…」という、通話終了音
― 終幕 ―