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マンガ『秘密-トップ・シークレット-』1巻・2巻ネタバレ感想

こめなべ-20160811

マンガ『秘密-トップ・シークレット-』の1巻と2巻が期間限定無料配信中!

映画化記念ということで、現在マンガ秘密-トップ・シークレット-』(清水玲子著・白泉社)の1巻2巻が、無料配信(2016年9月19日までの期間限定)されていました。 ※無料配信期間は、終了しました※ ちょうど映画化された部分のお話が読めるとあり、興味津々でページをめくっていくと、予想外にグロテスクな描写が多かったです。

血やら内臓やらが、普段気にならない私でも「うっ…これはちょっと…」と思う場面もありました。 なので苦手な方は、読むときにご注意ください。

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絵柄じゃないんだなー。 血や臓器の描かれ方は、ものすごく綺麗で美しいくらいなので。 それなのに、一抹のエグさが残るという不思議。

紙面でこれだけのエグさを感じるなら…映像化されたものは、一体どうなっているんだろう? マンガなら自分のペースで読めますし、キャラクターの感情もある程度セーブできます。 でも、映画となったらその世界に引き込まれる訳で…こ、怖すぎる。 読み終わった後、私には映画を見に行く勇気が無くなりました。

今回はマンガ『秘密-トップ・シークレット-』の主に2巻に描かれている"露口一家惨殺事件"のネタバレ感想を、書きます。 謎とされている部分も書いておりますので、苦手な方はご注意ください。

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マンガ『秘密-トップ・シークレット-』"露口一家惨殺事件"のざっくりしたあらすじ

化学警察研究所法医第九研究室(通称:第九)に、青木一行(あおき いっこう)が配属される。 彼は、MRI捜査に憧れを抱いていた。

MRI捜査とは…死亡後10時間以内に、遺体から損傷のない脳を取り出し、MRIスキャナーにかけ生前と同じ状態に保ち、一定の電気刺激を与え脳を120%活性化させることで、生前に見た映像をクリアに再現する。 ただし音声の再現はできないため、読唇術が必須。

被害者が無くなっても、その脳の映像を見ることで真犯人を特定したり、犯人がどのような感情でその行動を起こしたのかを調べてゆく。

今まで謎とされていた、事件の真相がわかること。 また、亡くなった後も人は"語る"ことができるということに、青木は夢を持っていた。

警視正の薪 剛(まき つよし)は、「異動願いを出したほうがいい」と青木に勧める。 なぜならMRI捜査で見るものは、通常自分たちが"見ている"世界ではないからだ。

同じものを見ていたとしても、1人1人の脳によって見え方(捉え方)は違う。 さらに、他の人には見えていないものを"見ている"場合があるのだ。 第九では、犯罪者の脳を見ることも多い。 そういった脳の中は、幻覚・幻想・憎しみや悲しみが形づくる、地獄のような世界ばかり。

薪の勧めを無視して、捜査を続ける青木。 しかし、脳が見せる幻覚の中から真実を見つけ出すことに、慣れずにいた。

そんなとき青木は、薪から死刑囚・露口浩一(つゆぐち こういち)の脳を見るよう、指示を受ける。 死刑囚の脳を見る仕事は"特捜"と呼ばれるもので、死刑囚の生前の映像が供述内容と同じであるかどうか、また他の事件に関わっていないかを確認する作業だ。

通常業務と何が違うのかと言えば、既に刑が確定していること。 どんな映像を見たとしても、その人間への判決が覆ることは無い。 だから、何を見ても第九の他の仲間に相談もできない程、機密性の高い業務だった。

青木は浩一の脳を見て、3年前に起きた"露口一家惨殺事件"の真犯人が、事件の唯一の生き残りである長女・絹子の犯行であることを知る。 浩一は絹子を守るために、既に亡くなっていた妻の真理、次女の麻子、そして義母・桜の脳を潰したのだ。 MRI捜査で真実を暴かれないために。

青木は薪に報告をするが、既に浩一の刑が確定している以上"この事件"に関して、絹子は無罪放免であることを告げられる。 逆に、MRI捜査で見たことを基に絹子を尋問した場合、不法行為に問われるのは青木の方だ。 くれぐれも情報を漏らさないようにと、薪に釘を刺される。

青木は、絹子がどういう人物であるかを薪に報告するために、浩一の脳から絹子の情報をさらに集めてゆく。 そして異性関係が派手であったことを、書類にまとめて提出した。

薪は"高校生誘拐殺人事件"の担当を覗いて来いと、青木に命じる。 その書類の中に、絹子と関係を持っていた池田達雄の写真があった。 調べるともう一人、山下秀樹も絹子と関係を持った後、行方不明になっていることがわかる。 青木は、絹子が彼らを殺しているのではないかと、疑う。

そんなとき、平井学という少年が事故死する。 彼もまた、絹子と知り合いだった。 青木は学が"何か"を見ているかもしれないとして、家族にMRI捜査の許可をもらいに行く。

だが学は生まれつき目が悪く、何も見えていなかったと両親から知らされる。 手がかりを無くし、落ち込む青木。 事故現場に花を供えに行くと、絹子がいた。 そして「すべてが明らかになるのは、私が死んでからだ」と、笑う。

万策尽きた青木の前に、学のものとは別の血痕が目に入る。 それは学の"目"としていつもそばにいた、愛犬のものだった。 青木は愛犬の脳をMRI捜査にかけて、絹子の隠しているものを見つける。

関係を持った男たちの遺骨。 そして学を事故に見せかけて殺した、決定的な瞬間まで。 この証拠を基に、絹子の逮捕状を請求する手続きがとられた―…。

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いくつもの脳を見るってことは何人もの人生を追体験してるってこと

脳みそに損傷がなければ、MRIスキャナーにかけて“その人”の全てが見られる―…。 目を閉じている間の映像は途切れるけど、それ以外は全部綺麗に映し出される。 お風呂もトイレも…好きな人に向けた想いまで。

ちょっと意味は違うけど“目は口ほどに物を言う”…って言葉が浮かびました。

何より恥ずかしいのは、物語の中でも書かれているけれど…単なる映像としてではなくて、自分の思ったことや感じたことまで丸裸にされてしまうこと。 捜査の上では必要かもしれないけど…“その人”のプライバシーは欠片もない。

既に亡くなっているから「見ないで!止めて!!」とも言えないし…ただひたすらに、脳みそ(心の中)を覗かれるだけ。 見るほうも大変だろうけど、覗かれるほうもたまったもんじゃないですよ! 「いや、これは違うんだって!そういう意味じゃないから!!」と、言い訳もできないんですから。

いやもう本当に。 こんな機械が現実にできた日には、おちおち死んでられないですよね。 怖い、怖い。

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第九の人たちが“その人”に取り込まれていくのは、丸ごと全てを見ようとするからだろうなぁ。 正義の為に…と、“その人”の行動を一挙手一投足まで見てたら“その人”を追体験することになる。 映像じゃなくて、感情面まで伝わってくるほど、映像がクリアだー…って書かれていたから…そりゃあ、しんどいわ。

しかも何人も何人もの脳を見て、記録していかなきゃならないんですから…精神力とか、向き不向きだけの問題じゃない気がします。 第九のお仕事って。

自分にとって耐えられない“何か”に当たるか、当たらないかの運?みたいな?? それでいくと、露口絹子の事件は私には耐えられないです。 何が…っていうと、発想が。

連続殺人を犯した後、元凶である父親に罪を着せ。 さらに自分を信じてくれている男のコまでも「犯行をバラされたら困るから」という理由で、事故に見せかけ殺害する。

その一連の絹子の行動や考えは、絹子の父である、浩一(露口一家惨殺事件の犯人として、死刑になっている)の脳と、男のコの愛犬(男のコと一緒に事故で亡くなった)の脳の映像を見ることで、明らかになるのですが…なんかエグいんですよね。 自分の魅力を知り尽くした上で、男性を手玉にとって殺害して…それでも逃げ切れると、確信している。

悪びれずに犯行を重ねていく絹子が、私には理解出来ません。 わざわざ自分が殺した人間たちを、男のコに見せたくなるっていう気持ちも、全くわかりませんでした。

感情の理解できない人の映像を見て、その想いを推理していくなんて…途中で「もう、無理ーっ!!」って、機械を破壊したくなるだろうなぁ。 衝動のままに。

いやはや…私には、絶対できないお仕事です。 第九の捜査員の皆さま、本当にお疲れ様です。