重たいけど爽快感があるサスペンス
2006年に公開された映画『ダ・ヴィンチ・コード』。 先日映画館で、このシリーズの第3弾『インフェルノ』が、10月28日(金)から公開されるということで、久しぶりに見てみたくなりました。
出演はトム・ハンクス、オドレイ・トトゥ、イアン・マッケラン、アルフレッド・モリーナ、ユルゲン・プロホノフ、ポール・ベタニー、ジャン・レノです。
ガッツリしたミステリーだったことは覚えているのですが、詳細をほとんど忘れていました。 見直してみた感想は、「重たい物語だけど、謎解き部分でスッキリするので爽快感がある!」。 謎解きをしっかりしてくれる作品に飢えていたので、とても満喫できました。
今回は、映画『ダ・ヴィンチ・コード』のネタバレ感想を書きます。 犯人についての記載もありますので、苦手な方はご注意ください。
映画『ダ・ヴィンチ・コード』のざっくりしたあらすじ
ハーバード大学のロバート・ラングドン教授(トム・ハンクス)は、パリでシンボルについての講演を終える。 本も出しているラングドンは、公演後にサイン会を行い、ファンの人たちと語らっていた。
そこへ、フランス警察のジェローム・コレ警部補(エチエンヌ・シコ)がやって来る。 彼はラングドンに、ルーブル美術館の館長ジャック・ソニエールが、館内で射殺された事件について、捜査協力を依頼してきた。
「なぜ、自分が?」と不思議がるラングドンに、コレは現場写真を見せた。 遺体は裸で、胸に血で五芒星が描かれている。 犯人が遺体に施したものかと思いきや、撃たれた後、ソニエール自身がやったことらしい。 警察ではこの意味が解けなかったが、シンボルに造詣の深いラングドンなら、何か手掛かりが掴めるかもしれない…と言うのだ。
現場に行くと、ベズ・ファーシュ警部(ジャン・レノ)が待ち構えていた。 写真ではわからなかったが、ソニエールは裸で両手両足を広げ…まるで、ダ・ヴィンチが描いた「ウィトルウィウス的人体図」を模しているようだ。。 ファーシュはラングドンに、ソニエールが書き残した文字を見せる。 意味不明の文章に、困惑するラングドン。
そこへ暗号解読官のソフィー・ヌヴー(オドレイ・トトゥ)が現れる。 彼女はラングドンに、ファーシュが「犯人はラングドンだと決めつけている」と話す。 ソニエールの遺体の傍に書かれた文字には続きがあり、ラングドンの名前が記されていたと言うのだ。
ソフィーはソニエールの書き残した暗号から、「ラングドンに託せ」というメッセージを読み取っていた。 端から犯人をラングドンだと決めつけるファーシュにも疑問を持ち、ソフィーはラングドンと共に警察の包囲網を突破。 2人で、真犯人探しに乗り出す。
ソニエールが本当に残したメッセージは、「レオナルド・ダ・ヴィンチ」。 ラングドンとソフィーは、手掛かりを1つ1つ追ってゆく。 ソニエールが持っていたユリの紋章のついた鍵から、彼がシオン修道院の人間であることがわかる。
シオン修道院とは、陰でキリストの血脈を守り続けてきた存在だった。 そして、彼らが大切に護り続けているもう1つが“聖杯”と呼ばれるもの。 それが何かは誰も知らず、伝説とさえ言われていた。
金庫からバラの絵のついた木箱を見つける、ラングドンとソフィー。 中にはクリプテックスという、文字を並び替えて正解しないと開かない、金色の楕円をした細工が入っていた。 "聖杯"を見つけないと、次へ進めないと考えたラングドン。
推理に行き詰ったラングドンは、昔馴染みのリー・ティービング(イアン・マッケラン)を尋ねる。 リーは聖杯伝説に心酔し、膨大な知識を持っていた。 彼の元でラングドンとソフィーは、キリストが神ではなくただの人間だった…という説を聞かされる。
彼にはマグダラのマリアという妻もいて、キリストが磔にされたときには身ごもっていたのだと。 マリアは隠れて子どもを産み、今もそのキリストの子孫が生き残っていると言う。 シオン修道院は、その子孫を守り続けてきたのだと。
リーと執事のレミー・リュガルデ(ジャン=イヴ・ベルトロット)も、"聖杯"の謎を追うためラングドンとソフィーに同行する。 ところが、リーは"聖杯"を奪い取ろうとしていたのだ。 キリスト教の歴史を根底から覆す秘密…それを欲して、リーはラングドンとソフィーに襲い掛かる。
間一髪! ファーシュと警官隊が駆けつけ、ラングドンとソフィーは救われる。 ファーシュは2人を追う内に、自分が犯人によってミスリードされていたことを知ったのだ。
ラングドンはクリプテックスの謎を解き、ソフィーをロスリン礼拝堂へ連れてゆく。 そこにはソフィーこそが、キリストの直系の子孫であり、ソニエールたちが守り続けていた"聖杯"だと気づく。 だが、安置されているはずのマリアの遺体が無くなっていたため、DNA鑑定もできず真相は闇の中へ―…。
ソフィーは礼拝堂に迎えに来てくれた、祖母と一緒に帰ってゆく。 彼女を守る存在は、シオン修道院だけではなかったのだ。 ラングドンはソニエールに託されたソフィーを、無事に安全な場所へ送り届けることが出来たと、満足する。
ふと、暗号に書かれていた言葉を思い出したラングドンは、地図にある「ローズライン」に目を留める…そこに、もう一つの意味を見出して駆け出すと…ルーブル美術館に辿り着いた。 それはまさに言葉通りの場所で、ルーブル美術館の真下にはマグダラのマリアが眠っていることを、ラングドンに確信させたのだった。
ポール・ベタニー演じる・シラスに一番心動かされました
私の脳みそでは映画すべてをきゅっコンパクトにまとめることが出来なかったので、登場人物を最小限に、物語を単純にして上のあらすじを書きました。 結果…一番心を動かされた、シラス(ポール・ベタニー)の話を入れる隙がなかったという…残念な結果に。
シラスは幼少期にアル中の父親から、ヒドイ暴力を受けていました。 両親と違って、髪の毛の色が薄いから…不貞の子として扱われていたのかなぁ? ある日、母親まで殴る父親に耐えかねて、シラスは父親を殺してしまいました。
服役中に聖書(なのかな?)を読み、「神とは…」みたいなことを考えていると、大地震が起きて刑務所が壊れます。 脱獄したシラスでしたが、建物の倒壊に巻き込まれ、大怪我を負った身体では動けません。
道で倒れていたシラスを救ったのは、司教のマヌエル・アリンガローサ(アルフレッド・モリーナ)でした。 シラスは、自分のことを息子のように可愛がってくれる、アリンガローサに心を開きます。 そして彼と出会わせてくれた神に、感謝するのです。
シラスにとって、アリンガローサは絶対でした。 彼の言うことは全て正しいと―…。 アリンガローサの頼みなら、人も殺しました。 人を殺すことは大罪だとわかっていながらも、アリンガローサの役に立てることが嬉しかったのです。
しかし、それはアリンガローサを裏で操る真犯人の企てで、用済みになったシラスは抹殺されそうになります。 混乱した中、シラスは誤ってアリンガローサを撃ってしまいました。
…このときのシラスの絶望がね、もう…たまりません。 「犯人!なんでシラスを、そっとしておいてやらなかったんだよー!!」と、胸が潰れそうでした。 基本、優しくていい子だったと思うんです、シラスって。
それなのに…歪めて、歪めて、歪められちゃったから…。 折角、アリンガローサという光に出会えたのに、それさえも利用するなんて…嗚呼、悔しい!ホント腹立つ!!「犯人、許すまじ!!」!! 聖杯がなんぼのもんじゃいっ!!って、叫びたくなります。
伏線はほどぼとに謎を解決してもらう方が見ていて気持ちいい!
以前、見ていたと思ったのですが、改めて見ると忘れている部分が多くて、新鮮でした。 特に…1つ謎がでると、1つ解いて次へ進む…という流れが、とてもスッキリして見やすい!!
私の脳みその容量では、何個もの謎をポーイッと投げ出されて、後でまとめて回収されると混乱を極めるので。 1つづつ解決していただけると、ホントありがたいっ!!
なんでしょう? 自分が解いた訳でもないのに、達成感??を覚えて。 「よし!次の謎へ行こう!!」というか、「さらに続きを見たい!」という気持ちになります!
何個も何個も出てきた暗号…全部スッキリと解決されたもんなぁ。 ラングドン教授の発想の柔軟さ、本当にスゴかった!!
10月28日(金)から公開される、第3弾『インフェルノ』。 公開された特別映像が、カッコよすぎて期待が高まりますっ!!