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マンガ『ライトノベル』全4巻ネタバレ感想

こめなべ-20161111

妄想と現実の境目で起きる物語

マンガライトノベル』(なるしまゆり著・講談社)。 第1巻が無料配信されていたときに読んで、続きが気になっていたものです。

妄想の世界と現実の世界が、入り混じるときっていうのは、一体どんな瞬間なんでしょう?

今回は、マンガ『ライトノベル全4巻ネタバレ感想を書きます。 結末も含みますので、苦手な方はご注意ください。

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マンガ『ライトノベル』全4巻のざっくりしたあらすじ

人気ライトノベル作家・左々暗龍(ささくらりゅう)は、怒涛の展開を見せる作風で「1ページでも読み飛ばすと、登場人物が3人も死んでいた」と評されるほどだった。 それほど左々暗の作品では、登場人物が死んでゆく。

ある日、左々暗がコンビニに出かけようと自宅マンションを出ると、廊下で1人の少年・ミカトと出会う。 左々暗のファンであるという少年は、自分と同じ名前の登場人物が、作品にいると喜ぶ。 しかし左々暗は、今書いている原稿の中で、ミカトを殺していた。

気まずい気持ちを抱えながら、執筆作業に戻る左々暗。

数日後、またしてもマンション前でミカトに出会った左々暗は、ミカトの携帯に届いた妙な写真を見せられる。 それは左々暗が書く小説に登場する人物に似せて、縛られている男だった。 そのメールは左々暗にも届いていたが、相手の意図することがわからない。

さらに後日、左々暗のファンでコスプレをブログにアップしていた女性が、殺害される。 これをきっかけに、左々暗の作品が世間から注目を浴びるのだが…左々暗は、どうして亡くなった女性の死を悼まず、話を大きくするのかと憤る。

犯人が自分の作品を使って、犯行を重ねることを予測した左々暗は、自ら犯人を捕まえようと、ブログを立ち上げSNSで情報収集を始めた。

担当者とファミレスで打ち合わせた帰り道、血のついた靴を見つける、左々暗。 すぐに事件を担当している、刑事の加古川(かこがわ)へ通報した。 自分の作品を真似ている…という割に、書いたこともない現場を見せつけられ、左々暗は怒りに任せて送られてきたメールに返信する。

すると「よりよき日本社会を目指すための善意の被験体にエントリーしたものとみなします」という返信が届く。 警察は、左々暗が犯人ではないかと疑い始める。

そんな中、加古川刑事はミカトの正体を突き止めた。 橘実果登(たちばなみかと)は、関西の有名私立小学校の生徒だったが3年前、ある男に襲われた。 その男は読んでいた漫画の影響を受け、犯行を思いついたらしい。

実果登は意識不明が続いたため、転院することになったのだが、その搬送途中で母親と共に行方不明になったという。 さらに同じ時期に父親と、実果登の姉も行方不明になっていた。

警察から解放された左々暗の前に、またもやミカトが現れた。 既に亡くなっているらしいミカトは、それでも何かを伝えたいと訴える。 その気持ちを汲んだ左々暗は、ターゲットを自分に絞らせるため、ブログに小説を書く。

ミカトから得た情報を元に小説を書くことで、犯人に“自分はミカトと接触したこと”を伝えようとしたのだ。 犯人はなんと、左々暗の隣の部屋に住んでいた。 ミカトの姉・愛由里(あゆり)と、彼女を心酔する男・十坂春雪(とさかはるゆき)によって、拉致される。

左々暗は山奥に裸で放置され、犯人の指示に従い一つづつアイテム(靴だったり、ズボンだったり)を揃えてゆく。 その中で与えられたノートパソコンの中に、実果登と愛由里の母・由貴花(ゆきか)の記録などが残されていた。

左々暗は犯人が用意した服とお金を手に入れても、警察に駆け込むことはしなかった。 愛由里が指定した日時に、その場所へ行くことを選んだのだ。 警察から逃れるため、場所を転々とする左々暗。

誰にも何も相談できない不安を、ブログに非公開記事としてUPした。 次の瞬間、その記事は削除され左々暗は何者かが、ブログさえも監視していると疑う。

指定日当日、その場所へ向かった左々暗は、暗闇の中で見知らぬ人間たちと由貴花が実果登を殺す映像を見せられる。 その後も母親が苦しみ、最終的に自殺する場面まで映された。

その度に出される愛由里からの、問い。 左々暗がその問いを受けて、愛由里の真の気持ちをあぶり出すと、彼女はその場所を爆発させた。

しかし左々暗の非公開で上げたブログの記事から、場所と状況を把握した加古川刑事たちにより、死傷者はゼロ。 愛由里は、その場で逮捕された。

逮捕された愛由里は、弁護士に余罪があることを語り始める。 それはフィクションの世界での出来事を、現実世界が受け入れるのか…という実験だという。 愛由里はこれまでも様々な人間を使って、殺人を繰り返していたのだ。

そんな愛由里に左々暗は、手紙を書き続ける。 彼女がいつか、抱える闇から自由になれることを願って。

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カリスマ性を持つ人物がいたら世界は変わるかも

1巻を読んだときは、既に亡くなっているミカト君がふわりと現れるあたり、ファンタジー色が濃い作品かと思っていたんですが…メッチャ重めでした。 テーマは妄想(想像?)の世界と、現実の世界ってそんな簡単に混ざるのか?だった気がします。

個人的には「そう簡単には、混ざらんでしょう」と思いますが、愛由里ちゃんみたいな人が目の前に現れたら、わからなくなるのかなぁ。 彼女は確信犯的に“妄想と現実を混ぜよう”と企む人で、現実で生きづらい場合は、愛由里ちゃんの示す魅惑的に見える道を、歩いてしまうんじゃないかと思いました。

また愛由里ちゃんが、カリスマ性ハンパない持ち主なので…男性だけではなく、女性だって魅了しちゃうんじゃないでしょうか。 なので根本的に愛由里ちゃんを止めないと、この事件は再発してしまうかもしれないんですよね。

それをわかって、彼女のこれからとも向き合おうとする、左々暗さんがカッコよく見えました。 向き合うと言っても、理想論じゃなくてもっと手に届く範囲のことを目指しているから、余計にカッコいいんですよね。

いつか、左々暗さんと愛由里ちゃんが、一緒に本を書いたりする日が来るといいのにな…と、願わずにはいられません。

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