こめなべ

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マンガ『霊感少年の事件簿~優弥編~』全2巻ネタバレ感想

こめなべ-20161127

誰にでも優しい優弥は大切な人を亡くす悲しみを知っている

はざまもりさんのマンガが大好きで、コミックシーモアで見かけるたびに読んでいます。
マンガ霊感少年の事件簿優弥編~』全2巻(はざまもり著・Bbmfマガジン、青泉社)も、ぐいぐい惹き込まれるように読みました。

前にも書いた通り、はざまもりさんのマンガがひんやり怖くてクセになるのです。

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主人公の優弥は、誰に対しても優しくて、あまり感情を表に出しません。
それは自分が異界の者だという自覚があるからで、人間の側に居たいから…どんな相手であれ、亡くしたくないから、優しいんだろうなぁ…と思うのです。

今回は、マンガ『霊感少年の事件簿~優弥編~』全2巻のネタバレ感想を書きます。
結末も含みますので、苦手な方はご注意ください。

マンガ『霊感少年の事件簿~優弥編~』全2巻のざっくりしたあらすじ

魚住優弥(うおずみゆうや)の生みの親・安藤京子(あんどうきょうこ)は、夫を亡くしたショックで、長い間入院している。
そのため、優弥は養子に出されたのだが、引き取ってくれた養父母はとても優しかった。

そこへ優弥の叔母である、上原杏里(うえはらあんり)が訪ねてくる。
実は優弥には兄弟がいるらしいのだが、それは人間ではないものだと言う。
優弥を狙って、ここへやって来るかもしれない…と忠告したとき、異形の姿をした優弥の片割れが現れ、養母を殺害。
優弥の身体の中へ、入り込もうとする。

優弥と杏里はなんとか逃げ出し、ビルの倉庫へ身を隠す。
そこで優弥は、自分が生き物から生気を吸い取って生きてきたらしい…と打ち明ける。

祖父や祖母、ペットたち…養父が亡くなる瞬間、それを痛感した優弥。
養母が病気になったとき、優弥は生気を吹き込む術を覚えた。
しかし、長くは保たなかった。

優弥は自身の片割れを、身体の中に取り込むことを選ぶ。
そうすることでしか、あの異形のものを消すことができないと判断したからだ。

杏里は「異形のものを取り込んだとしても、優弥は優弥だ」と、優弥の背中を押す。
身体の中に異形のものを取り込んだ優弥は、自分が人間ではなくなったことを強く実感する。

幽霊が見えるようになった優弥は、人になり害をなす霊を追う内に、事件に巻き込まれてしまう。
毎回、不自然な関わり方をする優弥に、警察は犯人ではないかと疑いを持つ。
そのため犯人を見つけて、警察に捕まえさせる…ということを繰り返す、優弥。

ある日、オカルト探偵の大滝省吾(おおたきしょうご)が現れ、優弥に調査の協力を依頼する。
事件解決後も、ありのままの自分を受け入れてくれる大滝と、優弥は交流を持つようになった。

杏里の婚約者・野村秀明(のむらひであき)は、優弥の片割れに襲われて以来、意識不明になっている。
優弥には、彼の寿命がもう無いことがわかっていたが、杏里が不憫で言い出せない。

ところが野村は意識を取り戻し、退院までしてしまう。
彼は外側は野村でも、中身が異形のものとなっていた。
人間の血を吸わなければ、生きていられないのだ。

被害者が増えてゆく中、異界と人間界のバランスをとる存在・由良(ゆら)が現れて、野村を異界へ飛ばしてしまう。
野村がいなくなり落胆する杏里だったが、その後大滝と恋に落ち結婚。

2人の間には、夢奈(ゆめな)という女のコが生まれた。
しかし、彼女は異界の者…野村の血をひく娘だった。
強すぎる力は、世界のバランスを崩す…由良は夢奈に目をつける。

夢奈を異界へ連れてゆくという由良に、優弥は“この世に散らばっている、異界の者を捕まえること”を条件に、夢奈に手を出させない約束をする。
由良の依頼を受け、異界の者を捕まえてゆくものの、夢奈の力は成長と共にどんどん大きくなってしまう。

怪しい集団に目をつけられた夢奈は、異界で妖怪のエサにされてしまう。
夢奈を助けに行く、優弥と杏里。
しかし夢奈の身体は、妖怪に飲み込まれてしまう。

なんとか夢奈を取り戻しに行こうとする優弥の元へ、由良が現れ「あの妖怪は、妖気を好んで食べる。夢奈の元は、杏里の中に残った」と告げる。
次は、普通の人間として生まれて来られるのだ。

もう由良に夢奈を狙われることが無くなったと、優弥は安心する。

異界の血を引きながら人として生きる者

異形の血を引きながらも、人として人のそばで生きてゆく異界の者・優弥。
自分が大好きな人たちの命を奪って、生きているんだ…と知った時は、辛かっただろうなぁ。

その後、コントロールの仕方も独学で覚えて、人に害を成しそうな幽霊や異界の者と闘っていく。
由良という力を持つ、異界人が味方してくれるからだけど。

そんな中で、ひっそりと人に紛れて生きている異界人にも出会ったりする。
彼らは本当に人間が好きで、愛する者の側で生きていたいと願う者が多い。

人間をエサだとする異界人が多い中で、誰かを愛する心(?)を持てた彼らは、幸せを感じることも出来るけど、大切な人を亡くした悲しみを、ずっと背負っていかなきゃいけないんだなぁ…と思うと、切なくなります。

そんな人たちは義理堅い人が多そうだから、すぐに次の人を好きになる…ってこともなさそうだし。
上手くいけば、生まれ変わった相手を見つけて、また愛することができるのかもしれません。

なんだか。
意外にもキチンとルールを守って生きている異界人を、尊敬してしまいました。