表紙を見てホラー要素もあるのかと期待していたのですがハズレました
タイトルと、表紙の血生臭さに惹かれて、マンガ『SAKURA TABOO(サクラタブー)』(猫田ゆかり著・講談社)全3巻を、読みました。
予想外に、血生臭さは感じられませんでした。 あとドロドロした…ホラー要素もあるのかと、表紙を見て勝手に期待していたのですが、全くなく。 通常の、刑事モノでした。
今回は、マンガ『SAKURA TABOO(サクラタブー)』全3巻のネタバレ感想を書きます。 結末も含みますので、苦手な方はご注意ください。
マンガ『SAKURA TABOO(サクラタブー)』全3巻のざっくりしたあらすじ
警視庁に“失脚屋”と、呼ばれる男がいる。 その名を、桜真忍(さくらましのぶ)。 彼が異動した先の上司は、左遷や退官に追い込まれるというのだ。
警視庁警務部参事官・漆原雅也(うるしはらまさや)は、警視庁警務部教養課・五月玲奈(さつきれな)に、異動して来る彼の機嫌を損ねないよう命令する。
出向先のイギリスから帰国した桜真を、空港で出迎える五月。 物腰のやわらかな桜真の外見に、安堵したのも束の間。 帰りの車の中で、美竹(みたけ)警察庁長官が射殺されたことを知る。
警察庁トップの殺害ー…。 桜真は19年前の同じ日に狙撃された、高松(たかまつ)長官の事件を思い出す。 その事件は4年前に、犯人が捕まらないまま、時効を迎えていた。
同一犯の犯行なのか? 事件に興味を持つ、桜真。
ところが、警察庁首席監察官・綾目宗一朗(あやめそういちろう)から「この事件には関わるな」と、釘を刺されてしまう。 それは逆に、この事件の裏にとんでもない事実が隠されている証拠だった。
桜真は自分につけられた“失脚屋”というアダ名を逆に利用して、上役たちを脅して事件へ介入してゆく。 そこへ綾目から、この事件に関するヒントが届けられる。
“第三の専従班”。 綾目からのヒントを見て、桜真は表に出ていない第三の容疑者の可能性を考える。 そして、19年前の事件捜査に関わっていた刑事・四方木賢介(よもぎけんすけ)を訪ねた。
桜真は敢えて四方木を挑発することで、第三の容疑者の情報を得ようとする。 ところが四方木は、なんの情報も得られないまま捜査から外されてしまった…と、桜真に泣きつく。
桜真は、科学捜査研究所に勤める友人の研究員・柚木真琴(ゆずきまこと)に接触。 美竹警察庁長官殺害に使用された拳銃について、聞出す。 柚木の話し方から、桜真は「19年前に使われた拳銃を、第三の専従班が発見していたにも関わらず、紛失していた」と推理する。
警察がどれだけ探しても見つからなかった拳銃で、今回の事件は起きたのだ。 桜真は四方木にこの推理を、栗栖崇仁(くりす)部長に話すよう勧められる…そうすれば、捜査に復帰できると言って。
桜真の予想通り、捜査に復帰できることになった四方木の前に、綾目の側付き・百合中舞子(ゆりなかまいこ)が現れる。 そして、第三の専従班メンバーの情報が詰まったファイルを桜真へ渡すよう託された。
桜真と四方木は、2人で美竹警察庁長官事件を調べなおす。 すると現場での不審点、第三の専従班メンバーが全員亡くなっていることがわかる。
メンバーの1人・三雲(みくも)の自宅へ行く、桜真と四方木。 三雲の母親から、事件の前日に墓参りに来ていた女性がいたことを聞く。 四方木は墓地周辺で聞き込みを行い、モンタージュを作ることに成功。 その女性は、雪村美希(ゆきむらみき)という警察官だった。
雪村は事件前日に警察を辞めており、現在行方不明。 桜真はこれまでの状況から考えて、三雲と付き合っていた彼女が犯人だ、と推理する。
雪村にコンタクトを取るため、桜真はマスコミを使って暗号を流した。 すると雪村が証拠の拳銃を持って、自首してきたのだ。 桜真と四方木の2人で、雪村の話を聞くことになる。
雪村は、当時第三の専従班が第三の容疑者を追っていたことを、語り始めた。 その容疑者の周辺から発見された、拳銃。 メンバーたちは、すぐに上へ報告した。
ところが既に逮捕していた、第一の容疑者を“本物の容疑者”にするため、第三の容疑者の証拠を第一の容疑者が持っていた拳銃とするよう、命令される。 納得のいかないメンバーたちは、拳銃を盗み出し警察を辞めたのだ。
三雲を殺された雪村は、復讐を決意。 美竹警察庁長官を、殺害する。
桜真は達成感にみちている雪村に、こう説く。
「復讐をするにしても、正しい方法があったハズです」 >引用元:マンガ『SAKURA TABOO(サクラタブー)』3巻 114ページより
その言葉に猛省する、雪村。
雪村は法廷で、真実を語った。 三雲から聞かされた、公安部が犯人の隠蔽を行なったこと。 また、第三の専従班メンバーの死が、不自然であることも。
マスコミは騒然となったが、高松長官の事件が既に時効であり、美竹警察庁長官も亡くなっていることから、現公安部長の栗栖が更迭されることで収束する。
桜真はこの事件をきっかけに、綾目の部下となり新設される“調査監査室”へ、異動となった。 綾目が新たに作った部署“調査監査室”には、一体どんな目的があるのか? 桜真は綾目の真意を、探ろうと動き始めたー…。
読み解けないままに物語が終わってしまい、ただただ困惑
物語は、唐突に終わってしまいました。 3巻完結…ということで、全ての謎が明らかになるのだとばかり思っていたのですが…結局、高松長官のときの犯人は誰だったのか、わかりません。
…読み込み方が、足りないんだろうか。
とりあえず綾目さんは、交番勤務時代に桜真さんのお父さんと知り合い。 意気投合したのでしょう。 共に警察を変えていこうと、試みたものの…古い体制を変えることはできず、桜真さんのお父さんを亡くしてしまったんだな…と。
桜真さんのお父さんは、警察上層部のくだらない派閥争いに巻き込まれ、見殺しにされました。 綾目さんは、そのときの自分に力がなかったことを、とても悔いたのでしょう。
二度と警察上層部のメンツや、プライドのために、現場の人間が死ぬことの無いよう、警察の体制を変えようと思った。 だが、自分1人では正攻法でいっても、何も変えられないだろう…そう思った綾目さんは、悪役をかってでているのでしょう。
桜真さんに何かと口出しするのも、親心みたいなもので。 自分が居なくなった後、桜真さんが警察で生きやすいようにしてあげているのではないか…と、思いました。 例え桜真さんに憎まれることになるとしても、綾目さんには最大の愛情表現なんじゃないかなぁ。
桜真さんは綾目さんを、最大の敵(…ちょっと意味合いが違うでしょうか?)に据えることで、どんなことがあっても自分を見失わず、強く生きていけてる。 無自覚に、綾目さんに甘えている気がしました。
こんな2人が、どんな結末を迎えるのか知りたかったのですが…物語は新設された部署“調査監査室”が出来たところで、終わってしまいます。 「え?!これからが、佳境なんじゃないの!?」と、思わず叫んでしまいましたが…終わりなのだそうです。
続編の予定も無いようなので、残念です。