表紙の女のコの笑顔が印象的な『マイ・フェア・ネイバー』
大好きなマンガ『おはよう、いばら姫』(森野萌著・講談社)を描かれている、森野萌さんの他の作品が気になり『マイ・フェア・ネイバー』(森野萌著・講談社)を、読んでみました。 表紙の女のコの笑顔が、なんとも印象的で…のっけから幸せいっぱいの物語なんだろう、と勝手に想像して中を開いてみると、予想外の展開でした。
歳の差恋愛…というだけでもハードルが高そうですが、百子ちゃんの子どもの頃からの長い長い想いに、歴史を感じてしまいます。 行成さんに対する「好き」という感情に、いろんな色が詰まってるような。
今回はマンガ『マイ・フェア・ネイバー』全1巻のネタバレ感想を書きます。 苦手な方は、ご注意ください。
マンガ『マイ・フェア・ネイバー』全1巻のざっくりしたあらすじ
レストランで働く、佐久良行成(さくらゆきなり)は、学生時代に両親との仲が悪く、グレていた過去を持っている。 今でも目つきが鋭く、周囲に怖い印象を与えることが多い。
しかし、隣に住んでいる女子高生の萩原百子(はぎわらももこ)は、「ユキちゃん!」と行成のことを呼んで、くっついてくる。
百子は10年前まで、行成の隣に住んでいたが、ベランダから転落するという事故が起きた後、引越ししていた。 そのときの事故で、身を呈して百子を庇ったのが、行成だ。
高校進学と共に、百子だけが行成の隣の部屋へ戻って来たのだが、惜しげもなく「好き!」という感情をぶつけてくる。 行成は、そんな百子の気持ちが理解できない。 小さい頃に行成が構ってやったこと、そのときの情を百子は恋愛感情と、履き違えていると思い込む。
しかし、百子を好きだという男性が現れたとき…行成は百子が既に大人の女性で、自分以外の男性をちゃんと選ぶべきだと、百子をキッパリ振る。
行成も自分の人生をしっかり歩もうと、正社員になるための試験を受け、合格した。 そして地方への異動が決まったことを、百子に報告する。
これまでの日々を思い返せば、百子のおかげで行成は生きてこられた。 恋愛感情ではないが、愛おしいと想う気持ちを百子に抱いていることを、自覚する行成。
行成の想いを聞いた百子は、絶対に諦めないと宣言する。 何年かかっても、行成に好きになってもらうのだと。
行成はそんな百子を見て、彼女と家族になれる自分を想像し、そんな日が来ればいいのに…と、思ってしまう。
数年後、20歳になった百子は、いつも通りに行成の部屋の前で、彼を出迎える。 そんな百子に、遂に行成は自分の本当の気持ちを打ち明けた。
2人は家族になり、幸せな家庭を築いてゆく。
百子ちゃんの何があっても諦めない精神に憧れます
長い長い想いが、実を結んで本当によかったなぁ…と、読み終わってほっこりしました。
本編では結末が明確に描かれている訳ではないのですが転落巻末に行成さんと百子ちゃん、そしてお2人のお子さんのイラストが入っているので、「あー…幸せなんだな」と、勝手に解釈しました!
お子さんに、デレていそうな行成さんとか、容易に想像できてこそばゆい!!
行成さんと百子ちゃんの恋愛感情のやりとりだけでなく、2人の家庭環境の問題とかも描かれていたので、幸せな家庭を築いた2人を見ると、余計にずっしり来るものがあります。
お互いが辛いときに、ちゃんと出逢えてよかったな…と。
主に百子ちゃんの、何があっても諦めない精神には、感服です! 一途…って、こういうことを言うんだなと、実感しました。 決して、真似できない強さです。
それにしても「恋愛感情ではないけど、愛おしい」…の、感覚がイマイチ掴めません。 愛おしいなら、好き…で、いいんじゃないでしょうか? なんか譲れないラインが、行成さんにはあるのかもしれませんが。
見ていて「いや、それもう…百子ちゃんのこと、好きなんじゃ…」と、やきもきする場面が多々ありました。 最終的に、自覚してくださるからいいんですけども。
微妙な心理、難しいです。
なので、百子ちゃんの「大好き!」という告白には、毎回スカッとさせてもらいました。 自分の気持ちに素直になること、それをちゃんと言葉に出して伝えられることの潔さが、カッコよくて。
私もせめて、自分の気持ちには正直でありたいな、と思うのでした。