お悔み状と奇妙という言葉の組み合わせが新鮮でした
2017年4月14日(金)22時からNHKで放送開始された、ドラマ『ツバキ文具店~鎌倉代筆物語~』。 出演は多部未華子さん、高橋克典さん、上地雄輔さん、片瀬那奈さん、新津ちせさん、江波杏子さん、奥田瑛二さん、倍賞美津子さん。
第1話のサブタイトルは「奇妙なお悔やみ状」。
お悔み状というと、ハードルが高そうなのに…その頭に"奇妙な"とつくと、さらにハードルが上がった気がして。 ただただ、どんな物語になるんだろうと、興味が湧いていました。
ドラマが始まってみると、意外な展開に思わず泣いてしまった程です。
今回はドラマ『ツバキ文具店~鎌倉代筆物語~』第1話のネタバレ感想を書きます。 苦手な方はご注意ください。
ドラマ『ツバキ文具店~鎌倉代筆物語~』第1話 奇妙なお悔やみ状のざっくりしたあらすじ
祖母・雨宮カシ子(倍賞美津子さん)の訃報を聞いた、鳩子(多部未華子さん)は、8年ぶりに実家へ戻ってきた。
鳩子を待っていたのは、近所の魚屋の妻(大島蓉子さん)や、叔父の門脇幸三(小倉一郎さん)たち。 既にカシ子の、葬儀の準備を整えてくれていた。
カシ子を送りながら鳩子が思い出すのは、子ども時代の辛い記憶。 カシ子の営む“代書屋”を継ぐことを義務づけられ、鳩子は友人と遊ぶ時間も無いほど、修行させられたのだ。
鳩子はカシ子の束縛に堪え兼ね、家を飛び出す。 …あれから、8年。
実家は、鳩子が家を飛び出す前となんら変わらずに、あった。 カシ子が生きていた頃の匂いを色濃く残す家は、鳩子の気持ちを重くさせる。 早々に実家を売って、全てを忘れようと考える、鳩子。
そこへ、カシ子に代書の依頼をしていたという客が、やって来る。 水玉模様のワンピースに身を包んだ女性を、鳩子は心の中でマダムサイダー(冨士眞奈美さん)と名付けた。
鳩子は、カシ子の遺品の中に代書されたものは無く、書く前に亡くなったらしい…と、マダムサイダーに告げる。 するとマダムサイダーは「それなら、あなたが書いてよ!」と、強引に依頼をして、帰ってしまう。
マダムサイダーからの依頼は、お悔やみ状。 これがただのお悔やみ状ではないから、鳩子は頭を捻らせる。 マダムサイダー曰く…亡くなったのは、ペットの猿・権之助だというのだ。
「ペットへのお悔やみの言葉なんて、形式的なもので充分」と思った鳩子は、早く仕事を終わらせたいばかりに、手近にあった紙とペンで、当たり障りのない手紙を書く。
後日、店を訪れたマダムサイダーは、鳩子の手紙を読んで声を荒げた。 そして金切声を上げて、手紙を書きなおすように言いつける。
彼女の怒りの理由がわからず、困り果てる鳩子。 そんな鳩子に、隣に住むバーバラ婦人(江波杏子さん)が、「最愛の存在を亡くした人に、他の人が出来ることなんてない。ただ、相手の心に寄り添うだけ」と、アドバイスを送る。
鳩子は権之助の飼い主を、一目見てみようと家を訪ねた。 すると、砂田京子(原日出子さん)が笑顔で出迎える。 「権之助を訪ねて来てくれた人には、いつも入ってもらっているの」と、なんの迷いもなく鳩子を庭へ招く。
京子は権之助が生きているように話し、振る舞う。 鳩子が「権之助は、死んでないの?」と思い始めた頃、京子の夫・久雄(小林隆さん)が現れ、経緯を説明する。
子どものいない砂田夫婦にとって、権之助はまさに息子そのもの。 心臓に持病があり、長くは生きられないとわかっていても、心を通わせ愛しさを募らせていった。
権之助が亡くなってから、京子は心を壊してしまったという。 「まだ、権之助は生きている」そう思わないと、生きていけないのだ。 そんな京子に、自分はなにもしてやれないと涙する、久雄。
2人の愛の深さを感じ取った鳩子は、お悔やみ状と真剣に向き合う。 マダムサイダーが、こんな2人に掛けたい本当の言葉はなんなのか?
紙を選び、薄墨をすり。 筆を手に持つと、まるで誰かが操るように、鳩子の手は動いてゆく。
書き終えた手紙をマダムサイダーに見せると、涙を浮かべて喜んだ。 彼女自身も言葉にできなかった想いが、そこに綴られていたから。
鳩子は初めて、カシ子がしてきたことの偉大さを痛感する。 そして、祖母の遺したツバキ文具店を継ぐことに決めたのだった。
代書屋修行の厳しさがハンパなくてビックリです!
第1話は、鳩子さんとカシ子さんの関係が、強く描かれていました。
代書屋としてのプライドを持つ、カシ子さん。 代書屋を継ぐべく定められた、鳩子さん。
カシ子さんの職人気質な考え方は、カッコイイし尊敬します。 ただ、代書屋修行をさせられる側になってみると…小学校に上がる前くらいから筆を持たされ、字を書くなんて、苦行でしかありません。
遊びたい盛りに、全然遊べてないんだもんなぁ。 人生をかけた仕事…なのかもしれないけれど、せめて選択権は欲しかった。
リスクを一切教えずに「字を書いてみたい」と、言ったが最後。 「アンタ自身が、代書屋になりたいって言ったんだよ!」とか、言われてそうですもん。 怖い。
それにしても。 周囲の人間との関わりを、ほとんど絶って字を書くことに集中させる…というのは、代書を引き受ける際の人の細やかな心を、汲み取りにくくさせてるのではないか?と、思いました。
逆に、感情移入し過ぎたらダメなんでしょうか? 代書のお仕事の場合。
上手に文字を書くことは、もちろん。 人の感情にも敏感でないと、代書屋って務まらない気がします。
今回だけ見ていると、「鳩子さん、子どもの頃にもっと遊んでいたらよかったのにー!」って、地団駄踏んでしまいました。 いろんな感情を伸ばしてゆくにも、遊ぶことって大事なんじゃないかな…と。
とはいえ。 立派に砂田夫婦へのお悔やみ状を、仕上げることができたんですから、鳩子さんには持って生まれた才能が眠ってるんでしょう。
さて、これから鳩子さんがどんな手紙を書いてゆくのか、楽しみです!!