こめなべ

マンガ・アニメ・ドラマや映画の感想&声劇台本置いてます

息が止まる程面白い!映画『殿、利息でござる!』ネタバレ感想

こめなべ-20160530

キャストのみなさんの掛け合いが最高に面白い!

2016年5月14日(土)から全国で公開になった映画殿、利息でござる!』。 メインキャストは、阿部サダヲさん、瑛太さん、妻夫木聡さん、竹内結子さん、寺脇康文さん、きたろうさん、千葉雄大さん、橋本一郎さん、中本賢さん、西村雅彦さん、松田龍平さん、草笛光子さん、山﨑努さん。

さらに仙台藩の殿様役として、仙台出身のフィギュアスケート選手・羽生結弦さんが登場されました!

物語の展開も好みで、なにより演者さんたちの掛け合いが最高に面白くてハマってしまい、2回目を見てきました。 あと3回くらいは、映画館へ見に行きたい気持ちです!!

今日は映画『殿、利息でござる!』の感想を書きます。 ネタバレを含みますので、苦手な方はご注意ください。

スポンサーリンク

映画『殿、利息でござる!』のざっくりしたあらすじ

仙台藩にある宿場町の住人たちは、藩からの重税に苦しめられていた。 税金を払えなくなった者は、家を捨て夜逃げをする。

町の人口は年々減っていくが、税金は残った住人たちで賄わねばならないという、理不尽な状況が続き…さらに人が減るという悪循環に陥っていた。

「このままでは町がダメになる」と考えた穀田屋十三郎(阿部サダヲさん)は、京都から戻ってきた知恵者・菅原屋篤平治(瑛太さん)に、相談する。

篤平治は「税金が増えるということは、お上がお金に困っているということだ。だから、お金を貸してその利息を町に分配すればいい」と言う。

貸し付ける額は、千両=5000貫文(現在だと、3億円)。 千両貸しつければ、利息の1割…百両で町はしのげる。 だが、お金の無い町でどうやってその額を工面するのか、篤平治は現実味が無いと思い直し、笑い話にする。

ところが、十三郎は本気だった! 自分と篤平治だけで5000貫文を集めるのは無理だ…ならば、どうすれば千両集められるかを考えていた。 そして、同じ志を持つ者をを10人集めれば、1人500貫文の負担で済むと、まずは叔父の穀田屋十兵衛(きたろうさん)を巻込む。

篤平治は一歩間違えれば、命を落とすかもしれない事態に躊躇する。 なんとか十三郎を思いとどまらせようとするが、お上の傍で働き庶民の気持ちなどわからないだろう…と思っていた、肝煎の遠藤幾右衛門(寺脇康文さん)や大肝煎の千坂仲内(千葉雄大さん)まで、十三郎の提案に賛同!

十三郎たちは家財道具から、子どものおもちゃ、形見の品までも売りさばくが、5000貫文には程遠い。 そんな姿を見ていた、煮売り屋のとき(竹内結子さん)は伝馬人足たちにぽろりと話をもらす。

見返りもなく町のために頑張ってくれている人たちがいる!伝馬人足たちは、貧乏で自分たちがお金を出すことはできないが…と、町で名の知れたお金持ちたちに「お金を出したほうがいい」と提案してまわる。

名の知れたお金持ちの中でも、浅野屋甚内(妻夫木聡さん)は、ケチで守銭奴だから誰もがびた一文出さないだろうと思っていた。 ところが1500貫文出すという。

甚内の話に、十三郎は怒り心頭! 甚内は、十三郎の実の弟だった。 小さいころ穀田屋に養子に出された十三郎は、「なぜ長男の自分が養子に出されたか…それは、弟よりも出来が悪かったからだ」と思っていた。

自分が苦労して苦労して集めた500貫文が、甚内の1500貫文の所為で霞んでしまう。 ここでも弟に負かされた…と落胆する、十三郎。

ある夜、15年前に夜逃げをした男がお金を持って浅野屋へ戻って来る。 裏口の塀をよじ登ろうとしたため、泥棒と間違われ篤平治や幾右衛門たちに捕まった。 そこで話されたのは…浅野屋は酒屋のほかに金貸しも営んでいたが、貧乏人たちからは一度も取り立てを行わなかったこと。 夜逃げする男にもお金を貸していたが、最後に会ったとき「返さなくていい」とさらにお金を握らせてくれたということだっだ。

別の土地で頑張って働いた男は、元本だけでも…と返しに来たが、浅野屋の誰もが「もう終わったことですから」と受け取ってくれないのだという。 立ち聞きしていた十三郎は、今まで信じていたことが崩れていくのを感じ、真実を突き止めるべく浅野屋へ駆け込む。

甚内から聞かされたのは…先代の甚内(山﨑努さん)も、お上にお金を貸し、この町の負担を減らしてもらおうとしていたということ…そのために食べるものも食べず、節約に節約を重ねて暮らしていたということ。 そしてこの企みがバレてしまうと、他の人に迷惑をかけることになるから、誰になんと言われようと決して他言してはならないということだった。

さらに甚内の目が不自由だったために、十三郎を養子に出したこともわかった。 自分の勘違いを、大いに恥じる十三郎。

どうにか5000貫文=千両集まったところで、お上に借りてもらう手続きをするのだが、ここで役人の萱場杢(松田龍平さん)に嫌がらせを受けてしまう。 「お上は銭を扱わないから、金で千両納めよ」というもの。

金千両は貨幣価値が違ってきていたため、銅銭だと5800貫文必要だったのだ。 残り800貫文…その話を聞いた甚内は、あと500貫文出すと言う。 「店を潰す気か!?」と叱る十三郎だったが、実は浅野屋はすでにつぶれていたのだった。

「この機会を逃したら次は無い!ならば、店などいくらでも潰す覚悟がある!!」そういう浅野屋の人々に胸を打たれ、十三郎と篤平治は500貫文を借り受ける。 さらに、ときもたまりに溜まったツケを回収し、50貫文を渡す。

残り250貫文…それを知った十三郎の息子・音右衛門(重岡大毅さん)は、10年分の給料を前受する形で、奉公に出てゆく。 十三郎の元には250貫文が残った。 これで5800貫文が揃う。

金千両に換金し、萱場に渡す十三郎たち。 しかし、その場に甚内の姿はなかった。 いぶかしむ萱場に、父の教えを守る甚内の想いを伝える、十三郎。

「よくやった」ともらったお金を、甚内のところへ持って帰り、店を立て直せと十三郎たち皆で勧めていると、なんと藩主・伊達重村(羽生結弦さん)が現れる。 そしてこれまでのことを詫び、お酒の名前をつけて「店を潰すな」と去ってゆく。

甚内の店は殿の名付けた酒がよく売れ、潰れることはなく。 町にも40年間続けて、毎年利息が支払われたのだった。

スポンサーリンク

先代の甚内さんからの悲願だったと知ったときの感動といったら!

のっけから先代の甚内さんが、瓶にお金を貯めていく場面なんです。 それはもう、にったりにったりと微笑みながら。 「どんだけお金が好きなんだろう?」と、ちょっと引いてしまうくらいの迫力でした。

その息子の甚内さんも、篤平治さんに対して容赦無く利息を回収し、鉄の微笑み! お金こそ正義!お金がすべて!!って感じなのです。

だから十三郎さんたちが言う「浅野屋は守銭奴だ!」という言葉が違和感なく、すんなり入ってきます。 そして「出来のいい弟をとったんだ!私は、捨てられたんだ!」という十三郎さんの昔話にも同情し、なんて酷い父親だ!!とも思ってました。

ところがどっこいですよ! 甚内さんどころか、家族…いや、奉公人たちまでが一丸となって、先代の甚内さんからの悲願である「町を助けたい」という思いを叶えようとしていたんですから、スゴイ!!

簡単な願いじゃないですよ。 3億円なんて。

それをコツコツコツコツ…。 町中から悪口言われまくっても、町を救いたい一心で…。 正直、私には想像もつきません。 あんなにわかりやすく悪口言われまくっていたら、心折れますよ!!

「みんなのためにって、やってるのにー!!」って、叫びそうになりますけど。 そういう押しつけがましい想いも、自分が悪く言われて損をしているという想いも、甚内さんたちには無い。全く無い。 正真正銘の無私。

[名・形動]私的な感情にとらわれたり、利害の計算をしたりしないこと。私心がないこと。また。そのさま。「―な(の)態度で裁定する」「公平―」 >引用元:むし【無私】の意味 - goo国語辞書

どうやったら、こういう心境になれるのか…全くわかりません。 ただただ「すごいなぁ…」と、涙が溢れるばかりで。

お店がつぶれて、生活さえままならなくなりそうなのに、それでも500貫文出すと言って頭を下げる浅野屋さん。 十三郎さんたちが「受け取ります」と答えたときの、「よかったぁっ」っていう心からの笑顔がね…もう…たまりませんでした!!

笑って泣けて、演者さんたちの掛け合いが最高に面白い映画『殿、利息でござる!』!! オススメです!!