今回は声劇台本と、合わせて短編も掲載しております。
どちらもおなじシチュエーションの作品です。
声劇台本は、男性目線。短編のほうは、女性目線となっております。
お時間あればぜひ、両方楽しんでいっていただけると喜びます。
演者:男性・1人(年齢:20代)
※今回ヒロインのセリフは、短編版のほうに書いてありますので、こちらでは省略してます
※SEは効果音のこと(あってもなくても構いません)
時間:2分~4分程度
演じる速度や、間合いによって異なります
場所:会社の会議室
時間:夕方
状況:会議が終わって、2人で片付けをしている
演者側の状況:
男はヒロインと、付き合い始めたばかり
はじめてのイベントごとがクリスマスということで、いいところを見せたいと頑張っているところ
感情表現が豊かなため、やや子どもっぽい雰囲気
【声劇台本】大型犬彼氏とはじめてのクリスマス
今日の会議、長引いちゃったね。
後片付けする僕らのことも、少しは考えて欲しいよなぁ。
え?
ああ、僕はあと書類まとめて課長に提出したら終わり。
君は? 帰れそう?
そっか。 よかった。
あ! 24日のことなんだけどっ!
そう、クリスマス。
付き合って初めてのクリスマスだから、
奮発して、ココ! 予約したんだっ!
テレビにも出てたとこだよ。
すごい? へへへ。
≪編集:着信音(SE)≫
わっ!電話っ!!
はい!もしもしっ!
――え? はい――。 はい。
≪編集:通話終了音(SE)≫
はぁ――(溜息)。
今の? レストランから。
なんかさぁ。 サイトにバグができてて、
満席なのに予約が取れちゃったんだって。
そう。 キャンセルになった。
嗚呼――っ!!
僕ってヤツは、なんでこうっ――。
えっ?(パッと明るい声になって)
僕と一緒に、クリスマスを過ごせるだけで
嬉しいの? ホントに?!
へへへっ。 僕もだよ。
君と一緒にいられるだけで、幸せ!
― 終幕 ―
【短編】大型犬彼氏とはじめてのクリスマス
毎週恒例の会議が終わったあと。
会議室のテーブルやイスの片づけは、下っ端社員である私と彼の役目。
「24日なんだけど!」と、手を止めて彼が声をかけてきた。
「クリスマス?」
「そう!付き合って初めてのクリスマスでしょ。だから奮発して、ココ!予約したんだ」
「わぁ!このレストラン、テレビで見たよ」
彼は、褒めてくれと言わんばかりに、ネット予約したスマホの画面を掲げた。
まるで「とってこい」ができた、大型犬。
私もつられて、笑ってしまう。
彼の頭を撫でようとした瞬間、彼のスマホが鳴る。
慌てて電話に出た彼は、大きく口を開けたまま固まってしまった。
「だ、大丈夫?」と、思わず声をかけるのをためらってしまう。
「レストランのサイト。バグが見つかって、満席なのに予約が取れてたんだって…キャンセルに」
「ああ!」と悲痛な叫びをあげると頭を抱えて、彼が床へしゃがみこんだ。
傍に座ってみると、「いつもツメが甘いって…仕事でも…僕は…」なんてブツブツ言っている。
「レストランは残念だったけど、24日を一緒に過ごせるのが私は一番嬉しいよ」
耳元に囁いてキスをすると、彼はまた瞳を輝かせて笑顔を見せた。
― 終幕 ―