ページをめくるとあっという間に世界に惹き込まれました!
マンガ『水と器』全2巻(山田睦月著・ウイングス・コミックス)。
山田睦月さんが描かれた、マンガ『ミッドナイト・ロンリー・モンスター』に、ベタ惚れして以来。 割とこまめに、出版される度にコミックスを買っておりました。
『水と器』…タイトルと、表紙の絵だけでは、どんな物語なのかさっぱりわかりません。 とはいえ、ページをめくってみればあっという間に、その世界に惹き込まれました!
今回は、マンガ『水と器』全2巻のネタバレ感想を書きます。 苦手な方はご注意ください。
マンガ『水と器』全2巻のざっくりしたあらすじ
人形師をしている男は、それは美しい人形を作り出す。 ただし外見だけで、中身がなにもないため、妖などに魅入られやすい。
霊感が全く無いものの、祓屋をやっている坊主は、ある鬼を捜している。 妖が取り憑いた人形を、立て続けに壊した坊主は、その作者である人形師に辿り着く。
霊感は無いが“形”があるなら、自分にもどうにか出来る…と、考えた坊主は人形師に「人形を作ってくれ」と頼む。 ワザと妖を取り憑かせて、人形を壊すことで祓おうというのだ。
人形師は綺麗なものは作れるのに、すぐに妖に取り憑かれて騒動を起こす所為で、いつも食べるに困っていた。 それで食費のために、坊主と組むようになる。
人形師は稀代の天才人形師・二代目 卯之輔が、どこかで拾った子どもだった。 彼には卯之輔と出会う前の記憶が無く、出会ってからはひたすら卯之輔の真似をして、生きてきた。
卯之輔が亡くなって、一人になってから「自分は他の人と違って、欠けているんだ」と気づいたらしい。 だが、どうすればいいのか、わからぬまま。
化人形を作ると噂されると、次第に人と関わることからも、遠ざかっていた。 自分は卯之輔が作った、人形なのかもしれないと思いながら。
そこへ坊主が現れて、なんやかんやと事件に人形師を巻き込んでいく。 そこで様々な人に触れた人形師は、次第に喜怒哀楽に目覚めてゆく。
ある日、坊主が鬼を追いかけて、戻って来なくなる。 坊主が追いかけている、鬼…それは、実の兄の霊。
坊主は武家育ちで、名前を川名忠次(かわなただつぐ)。 家は代々続く名家であったが、政権争いに敗れ表舞台に立つことがなくなった。
剣の使い手として有名だった父は、己の鬱憤を晴らすように、忠次の兄を鍛えに鍛えた。 だが十数年後、病に倒れて呆気なく亡くなってしまう。
兄は役所に勤め始めるが、一方で家をお取り潰しにされなかった方への、ご恩返しとして暗殺を請け負っていた。 だが暗殺に失敗すると、掌を返したように殺されてしまう。
兄は恨みから鬼と化し、行方をくらます。 その恨みは、未だに完遂できなかった、跡目争いの火種となる“十歳くらいの少年”を見つけると、刀で切りつけるほど。
忠次は人形師に十歳くらいの人形を作ってもらう。 その“少年”を斬りつけに出てきたところを、退治しようというのだ。
見事おびきだせた忠次は、兄と共に死ぬ覚悟をしていた…そこへ、忠次の子ども時代の人形が現れて、兄を自然と成仏の道へ案内していった。
町に戻った人形師は、心のこもった人形を作れるようになり。 坊主とも、友だちとして仲良くやってゆけるようになった。
続けることの大切さを再確認できました
主人公の名前…見当たらなかった、と思うんですけども。 見てるのにスルーしてるんでしょうか?私の脳みそ。
人形みたいだった主人公に、次第に表情が生まれてくるところに、母性本能をくすぐられました。 坊主にのせられて、いろんな事件に巻き込まれる内に…。
感情を知らなかったというよりも“人に興味を持つ”ということを、知った…というのが、正しいのかもしれません。
人形師は、決して人嫌いという訳ではなさそうなので。 この2人も、出会うべくして出会った2人だなぁ…と、思いました。
ある意味、虚ろな人形を作り続けて、妖が入り込んだりしたから、人形師と坊主は出会えたんですもんね。 周囲の批判的な声に負けて、何もしなかったら、出会えなかったかもしれない。
好きなことというのは、とりあえず下手の横好きでもいいから、続けることが大切なんだなぁ…と思いました。
私もボチボチ、創作活動続けております。 お時間ありましたら、覗いてみてください!
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